県内の有名高校に通っているの女の子。高校になってから英語も数学もわからず、宿題もこなすだけで授業にはついていけない、わからないとはなしをしてくれました。将来の夢はあるけれど、勉強ができないというだけで、気持ちが小さくなってしまっていました。彼女に最初にしてもらったことは、中学校の復習です。できることがちゃんとできること、できることがあるからこそ、まなび方が身につけば、ひとりでも勉強できるようになります。部活のはなしをしながら、学校の先生にいわれたことやらなにやら、いろいろなおはなしをしました。苦手だった、ずっとわからないままだった「塩の問題」ができるようになった!とうれしそうにはなしをしてくれました。彼女は建築家か大工になりたいと話しをしてくれていたので、そして私自身が建築の勉強をしていたので、建築家や大工の勉強ができることをひとおおり話しをしました。現代建築、オシャレに特化した場所、大工仕事を実地で学べる場所、林業などとの関わりもたくさん勉強できる場所、構造計算にこだわる場所など。将来、彼女には日本のどこかでおもしろい建物を建ててほしいなぁとおもっています。

  浪人生の女の子。将来は英語を使って仕事をしたいという気持ちがありました。たしかに発音はとてもいい!小さい頃から英会話スクールに通っていたということでした。彼女は明るく元気で、話しをすることがとても大好きでした。君が自由自在に英語と日本語を行き来できれば、持ち前の個性で人気抜群の通訳になれるんじゃない?とはなしをしました。彼女は高校の基礎から英語の勉強をはじめました。彼女は発音ができるという長所があったので、スペシャルな単語帳に取り組んでもらうことにしました。「これ!いい!」と言ってくれたことを今でも覚えています。彼女の勉強法は他の人と違っているので、今までどうしたらいいかわからなかった、できないと思いこんでいました。日本史もやたらくわしく調べる癖があり、先生からはそれはやっても意味ないといわれていたといいます。けれどもそれは長所です。才能です。ただ限られた時間でどれだけ調べ、深めるか、その時間管理が彼女には必要だっただけです。

  県内某有名高校の女の子と生物のはなしで盛り上がっていました。日高さんという生物学で有名な人の本も読んだと話していました。行動学、生態学、生物のはなしをしている彼女はとてもたのしそうです。だけど彼女は文系でした。数学ができないから、どうしようもないでしょ?というのが彼女の言い分です。そこで、とある参考書をやってもらうことにしました。すると彼女は「この人(参考書)、おもしろい!」といってくれました。本との、本当の出会いが彼女の進路を変えたようです。学校での友達関係やら、大量の課題がでるのだというはなしをしながら、彼女のペースで勉強をすすめました。今彼女は、アメリカで宇宙生物学をまなびたいとはなしてくれています。「そもそもなんで学校行かなきゃならないの?」と真面目に質問してくれる彼女なら、アメリカの大学で学ぶことはとても刺激的で、おもしろい経験になることでしょう。楽しそうです。

  中学一年生の男子生徒。彼はいつも学校の宿題ばかりしていました。もくもくと、もくもくと宿題をしています。はなしをきくと、学校の授業がわからない、授業の時間がつらい、先生がしゃべっていることがわからない、ということでした。そこで今の彼に何ができるのかと、ちょっとした質問をしてみました。彼が英語でつまづいていたのは、三単現のsがでてからでした。とにかく今彼は英語が嫌いです。だから三単現のsがでてくるまでの「わかる」ところをもっと身につけることからはじめようと私は彼にはなしました。いつも下を向いてもくもくと、黙って宿題をしていた彼は、私の目を見て自分からもはなしをしてくれるようになりました。ちゃんとはなしをするだけで、おとながちゃんと向かい合うだけで、こたえてくれる素直さが、彼の勉強を支えています。

  中学生二年生の男の子。文字式がわからない!といっていました。「どうせ僕はできやしない」といつも自分を傷つける言葉を使っていました。「そんな言葉を使わないでほしい。少なくとも僕は君ができないなんておもっていない。一緒にやっていこう。」と私はいいました。学校の勉強は進んでいきます。問題は解けるけれど、文字式への苦手意識は続きます。そのつど、説明をしていきます。彼には時間が必要でした。励み、励まされながら彼は今「文字式、もう大丈夫ですよ」と言えるまでになりました。もう自分を傷つける言葉を口にすることもなくなりました。数学ではない、人としての貴重な時間を彼は文字式を通じて経験したのだとおもいます。

   小学生の女の子。とてもたのしいはなし。漢字の練習をしていた彼女の筆箱には「魚」の漢字がたくさん書かれていました。鯖(さば)やら鰻(うなぎ)やらなにやらたくさんの魚がいました。「”さゆり”はあるかな?」私は寿司ネタの”さゆり”が好きだったので、彼女に訊いてみました。彼女は一生懸命”さゆり”を探してくれました。「ない!」とうれしそうに彼女ははなしてくれました。とびきりの笑顔で。「これ、景品でもらったんだよ!」といって、筆箱を自慢してくれました。彼女はおとなになったら”さゆり”を食べてみてくれるのでしょうか。楽しみです。

  中学生二年の男の子。問題集にある「走れメロス!」を読んでいました。とても眠たそうです。いや、つまらなそうです。そこで私は「走れメロス!」の作者でである太宰治のはなしをしました。「太宰治って、誰?」「わかりません」「太宰治だから、ダサイのかな?ダサくない治だったら、どんな治かな」「カッコイイ治」そんなはなしをしながら、手塚治虫のはなしになりました。手塚治虫のマンガで「走れメロス!」があったかなぁとおもったからです。一緒にパソコンで調べました。パソコンで調べながら、手塚治虫のマンガを紹介したホームページを見つけました。「手塚治虫のマンガが分類されているけど、”ノンフィクション”ってなにかわかる?”SF”ってなんのことだか知ってる?」とはなしました。それから「走れメロス!」を探したけど、ありませんでした。探しながら、手塚治虫のいろいろなマンガの表紙、タイトルをみました。彼はたのしそうです。「君の家の近くに図書館はある?」「はい」「そこに、手塚治虫のマンガがあるはずだから、読んでみなよ。君が気になったタイトルはあるかな?」と聞きました。彼は僕の大好きな「火の鳥」を選びました。そんなことがあってから、「走れメロス!」を読み始めました。私の問は「この物語を読んで、君の心にのこった、ドキッとした場面を説明してみて」です。言葉を選びながら、「走れメロス!」を読んだことのない人にもわかるような伝え方をする勉強をしました。

  浪人生の男の子。彼は国立の医学部を志望していました。地元で過疎化が進み、医者もいない、峠を超えている間に命がなくなったはなしをたくさん訊いてきたとはなしをしてくれました。はっきりと自分の進路を決めていたようです。それからはなしをきくと「実は英語が苦手なんです」「一度にいろいろやると混乱するんです」ということで、英語と数学からはじめました。今までずっと勉強してきたけれども、成績が伸びない英語。彼に必要なのは、基礎でした。医者になって地元の人の生活を支えたいという気持ちを実現するための、彼の方法が必要でした。彼のユーモアセンスは抜群です。絵を書くのがウマイ。人を笑わせる力があります。彼には是が非でも医者になって人と関わってほしい!と私はおもったものです。修学旅行のバスの中で、スケッチブックをつかってクイズを出したはなしをしてくれました。実際に使ったスケッチブックをもってきて、僕にクイズをだしてくれました。彼はなんと、彼が自分の頭でつくったオリジナルのクイズをつくっているのです。驚きです。そしてそれがまたトンチがきいている。私は彼に、絵を描く才能を使って「数学の答案を美しく、絵画のように書いてほしいな」とはなしをしました。見やすい、伝わりやすい、なによりも美しい答案は、採点者の人に、彼のヒトとナリを伝えるはずです。その意識一つで、本番の後、採点をする試験管たちが「いやぁ、僅差だけど、どっちのヒトをとろうか?」と悩んだとしても、きっと彼は選ばれるはずです。練習する必要はなく、ただ意識するだけで、世界がかわります。

  浪人生の男の子。彼は某大手の予備校で何年も勉強をしていますが、成績が上がらなかったといいます。それでも、行きたい大学があると彼ははなしてくれました。理由を聞くと「だって、その大学、かっこいいじゃん」ということでした。素晴らしい理由です。じゃぁ、本気をだしてもらおうということになりました。彼はずっと偉い人に、できる人に教わったら、授業を訊いたら、自分もできるようになるとおもっていたようにおもいました。その時も、偉い人の授業を受けに某大手予備校にも通っていました。「それはちがうよ」と私は彼にはなしました。「授業をたくさんうけておもしろくても成績が悪かったり、答えがあっているから間違っているから一喜一憂したりしてたらつらいでしょ?今までそうして勉強してきたんだから、別のやりかたで勉強してごらんよ。もうその勉強法は、違うんだっておもってさ」と彼にはなしました。今までの癖がぬけず、いつも不安そうにしていた彼ですが、時間をかけて、一緒に勉強していきました。

  高2の男の子。今まで学校の課題をこなしている彼でした。国立の理系を目指していました。はなしをきくと、「数Ⅲが苦手なんです」ということでした。数Ⅲができないということは、数Ⅰ・数Ⅱがわからないということで、基礎からやり直してもらいました。すると「実は二次関数の問題ができなかったんです。でも今はできるようになりました」ということだった。なかなか自分から話しをしない彼だったけれど、ちゃんとおとなが「どこでつまづいているのか」をみて、もどって、一緒にやれば、成長をつづけることができます。またそれも、時間がかかることなのです。数Ⅲをやりたいとおもっているのに、数Ⅰ・数Ⅱまで戻って誠実に勉強をやりなおした彼の素直さに、敬意を表します。

  高2の男の子。英語が大嫌いです。数学も苦手です。理系です。今まで英語をサボる子、数学がデキナイ子といわれてきていたといいます。彼自身は気にしていない様子でしたが。勉強をしないなら塾もやめなさいと家族からいわれているといいます。「どうしようか?部活もあるだろうし、勉強したい気持ちがでてきたらまた塾にきたら?」と私ははなしをしました。いろいろな小さな約束をしながら、気持ちを支えながら、彼は勉強を続けていきました。彼はいつも音楽を訊いています。最高級のイヤホン、最高級のポータブルアンプをいつも持ち歩いています。あるとき彼ははなしをしてくれました。「こんど、僕の耳にあったイヤホンを特注することにしたんです」私はびっくりすると同時に、なるほどとおもっていいました。「君は音響関係の大学にいったらいいんじゃない?」彼はくいついてきました。「そうなんです。自分でも調べたんですけど」といって、実はこの大学とかこの大学を狙っていて、でもこれこれこうで、、と堰を切ったようにはなしをしてくれました。それから彼はどこか大人びて勉強をするようになったとおもいます。ちゃんとはなしをするということが、気がつくということが、大切なんだなぁとしみじみ、感じました。

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