『エッセンシャル思考』『残酷すぎる成功法則』『マインドフルネスストレス低減法』で限られた資源を最大に生かす

『エッセンシャル思考』で限られた資源を最大に生かす

 

エッセンシャル思考

限られた資源をどこに使うか決める。だから成果が出る。

「全部手に入れよう、全部やろう」とするうちに、私たちは知らず知らず何かを失ってい る。自分の時間とエネルギーをどこに注ぐか決められずにいるうちに、誰か(上司、同 僚、顧客、家族等々)が私たちのやるべきことを決めてしまう。そうして思考停止に陥 り、自分にとって何が大事なのかわからなくなる。 自分で選べない人は、他人の言いなりになるしかないのだ。

オーストラリアのホスピスで看護師をしていたブロニー・ウェアは、死を迎える患者た ちが最後に後悔していることを聞き、記録しつづけた。その結果、もっとも多かった答え は「他人の期待に合わせるのではなく、自分に正直に生きる勇気がほしかった」。

自分に正直に生きるというのは、単にわがままになることではない。不要なことを的確 に見定め、排除していくことだ。そのためには、無意味な雑用を断るだけでなく、魅力的 なチャンスを切り捨てることも必要になる。やることを減らし、人生をシンプルにして、 本当に重要なことだけに集中するのだ。(『エッセンシャル思考』p.35)

自分で選ぶという最強の武器を手に入れる 

これは『レ・ミゼラブル』の作者、ヴィクトル・ユーゴーの言葉だ。 「より少なく、しかしより良く」という考え方も、まさに「時にかなった思想」だと言えるだろう。 行動を取捨選択できるようになると、すべてが変わる。ひとつ上のレベルの生き方が手 に入る。不要なものを捨てる生き方は、自由だ。もう誰かの思惑に振りまわされることも ない。自分で選べるのだ。

この最強の武器があれば、仕事や生活で最高のパフォーマンスが出せる。それだけでな く、世の中に最高の貢献ができるようになる。

もしも学校のつまらない課題をやめて、もっと世の中の役に立つことをやったらどうな るだろう。世界を良くするために何ができるかを考え、不毛な競争のかわりに未来を見据 えた大人になるとしたら? (『エッセンシャル思考』p.46)

 

メアリー・オリバーの有名な詩の一節を引用しよう。 「教えてください、あなたは何をするのですか/その激しくかけがえのない一度きりの人生で」

いったん読むのをやめて、この問いをじっくり考えてみてほしい。 そして、今ここで、エッセンシャル思考の生き方を選ぶと決意してほしい。 ためらう理由があるだろうか。あるとき目を覚まして、「ああ、自分に正直に生きるよ り、どうでもいい仕事を押しつけられる生活のほうがよかったなあ」と後悔する可能性が あるだろうか?

たくさんのどうでもいいことより、数少ない本質的なことを全力で追求しようではない か。(『エッセンシャル思考』p.48)

 

子供の頃、小遣い稼ぎのためにアルバイトをしたことがある。2歳の子供にできる仕事 といえば、新聞配達くらいしかなかった。1日1時間ほど働けば、1ポンドが手に入る。 私は自分の体重ほどもありそうな袋をかつぎ、毎朝1時間かけて家から家へと新聞を配ってまわった。ラクな仕事ではなかった。

つらい労働の経験は、私のコスト意識を決定的に変化させた。ほしいものがあると、 「新聞配達何日分」という数字に置き換えるようになった。1ポンドのお金は、1時間の 労働だ。その計算でいくと、ほしいおもちゃが買えるのはまだまだ先になりそうだった。

そこで私は、頭を使った。どうすればもっと早くお金が稼げるだろうと考えた。新聞配 達のかわりに、隣の家の洗車するのはどうだろう。料金は1台につき2ポンドだとして、 1時間あれば3台は洗える。1時間 = 1ポンドだったのが、1時間 = 6ポンドになるの だ。それに気づいた瞬間、私は人生の大きな教訓を学んだ。 「ある種の努力は、ほかの努力よりも効果が大きい」 (『エッセンシャル思考』p.59)

精神は遊びを求めている 

遊びは、生きるために不可欠なものだ。 最近の研究によると、動物は遊びを通じて主要な認知スキルを発達させているらしい。 実際、遊びが種の生存を左右することもあるほどだ。

5年間にわたってハイイログマの生態を研究しているボブ・フェイガンは、よく遊ぶ熊 ほど長生きすることを発見した。彼はこう説明する。 「世界はたえず変化し、未知の課題や不確実な状況を突きつけます。遊びはそうした変化 への対応力を育むのです」

神経科学者のジャーク・パンクセップも、同様の意見を述べている。 「たしかに言えるのは、遊んでいるときの動物たちがきわめて柔軟で創造的な行動をとる ということだ」

動物のなかでも、ヒトという種はとりわけ遊びが好きだ、と先述のスチュアート・ブラ ウンは言う。人間は遊ぶ生き物であり、遊びを通じて生き方を身につけるのだ。

遊んでいるとき、私たちはもっとも純粋な形で人間らしさを発揮し、自分らしさをさら け出す。最高の思い出や、「生きている」という実感をもたらしてくれるのは、遊んでい る時間だ。遊びは発想を豊かにしてくれる。新たなアイデアが生まれ、古いアイデアが新 たな命を得る。好奇心が刺激され、未知のものを知りたいという意欲がわいてくる。 遊びがエッセンシャル思考に不可欠なのは、次の3つの点で役立つからだ。

遊びが大切な理由1

遊びは選択肢を広げてくれる。それまで気づかなかった可能性や、思いがけないつなが りに気づかせてくれる。遊ぶことで、私たちの視野は広がり、常識にとらわれないやり方 が見えてくる。意識の流れが豊かになり、新たなストーリーを発見できる。

あのアインシュタインも、次のように語っている。 「自分自身や自分の考え方を振り返ってみると、有用な知識を覚える能力よりも、空想する力のほうが大きな位置を占めているようだ」

遊びが大切な理由2

遊びはストレスを軽減してくれる。ストレスは生産性を下げ、好奇心や創造性の働きを 弱める。仕事でストレスを感じたとたん、何もかもがうまくいかなくなるという経験は誰 にでもあるだろう。部屋の鍵は見つからず、物にぶつかりやすくなり、キッチンのテーブ ルに大事な書類を置き忘れる。

最近の研究によると、これはストレスが脳に影響を与えるためらしい。ストレスによっ て感情をつかさどる部分(扁桃体)の働きが強くなり、認知機能をつかさどる部分(海 馬)の働きが弱くなるのだ。その結果、うまくものを考えられなくなってしまう。

遊びが大切な理由3

遊びは脳の高度な機能を活性化する。精神科医のエドワード・M・ハロウェルによる と、「(遊びは)脳の実行機能に良い影響を与える。実行機能とは、計画、優先順位づけ、 スケジューリング、予測、委譲、決断、分析など。つまりビジネスでの成功に不可欠なス キルの多くを含むものである」 遊びは脳の論理的で冷静な部分を刺激すると同時に、自由奔放な探究心をも刺激してく れる。主要な発見の多くが遊びを通じて生まれるのは、そのためだ。ハロウェルはこう述 べる。 「コロンブスは遊んでいるときに、地球が丸いことを思いついた。ニュートンはぼんやり と心を遊ばせているときに、木から落ちるリンゴを見て万有引力の着想を得た。ワトソン とクリックはDNAの形を遊び半分で空想していたとき、二重らせんという形に行き着い た。シェイクスピアは言葉遊びを生涯やりつづけた。モーツァルトは寝ているとき以外は つねに遊んでいた。アインシュタインは実験という行為こそ、精神が遊びを求めている何 よりの証拠だと考えた」 (『エッセンシャル思考』p.111)

十分な睡眠が脳の機能を高める

なぜ人は、貴重な睡眠をすぐに削ろうとするのだろうか? 睡眠を削ればもっと働ける、と考えているのかもしれない。数々の証拠が、それとは逆 の結果を示しているというのに。
マルコム・グラッドウェルが提唱した「1万時間の法則」をご存知だろうか。心理学者 のK・アンダース・エリクソンがおこなった調査で、一流のバイオリニストは普通の生徒 よりも練習時間が格段に多いという事実が明らかになった。この発見は「生まれつきの天 才」という神話を打ち砕き、集中した質の高い練習こそが一流を生み出すという新たな考 え方を世の中に広めた。
ただし、この発見は、とにかく量をこなそうという非エッセンシャル思考にきわめて近 いものでもある。「1万時間」という数にとらわれ、質を考慮せずに時間ばかりをだらだ らと引き延ばす人も出てきてしまった。

あまり注目されていないが、この調査ではもうひとつの重要な事実が明らかになってい る。一流のバイオリニストはよく練習するだけでなく、よく眠るという事実だ。 エリクソンの調査によると、一流のバイオリニストは、1日平均8.6時間の睡眠をとっている。アメリカの平均より1時間長い数字だ。さらに、彼らは週に平均で2.8時 間の昼寝をしている。これはアメリカの平均より2時間長い。エリクソンらはこの事実か ら、睡眠が一流パフォーマーたちの並外れた集中力を支えているのだと結論した。ただ長 時間練習しているのではない。たっぷり休養することで、1時間あたりの練習効果を最大 限に高めているのだ。(『エッセンシャル思考』p.125)

『残酷すぎる成功法則』で限られた資源を最大に生かす:見切りをつける《縁切り》

残酷すぎる成功法則

できないことがあるなら、できることが増える

スペンサー・グレンドンは、とても印象的な男性だ。フルブライト奨 学生としてドイツで学んだ後、ハーバード大学で経済学博士号を取得 し、シカゴ南部の慈善事業を支援。現在はマサチューセッツ州で最大手 投資信託の共同経営者である。しかし、最も印象的なのはその経歴では ない。

驚くべきは、こうした業績を積みあげてきた期間、必ずと言っていい ほど彼は重病だったということだ。高校時代、スペンサーは潰瘍性大腸 炎を患い、やがて合併症である進行性の肝機能障害を抱えるようになっ た。ついに友人から提供を受けて肝臓移植手術を受けたが、その関係で 免疫抑制剤を飲み続けなければならなくなり、免疫システムがほとんど 機能していない。私たちなら鼻づまり程度で済む風邪でも、彼は一週間寝込まなくてはならない。

多くの人は具合が悪くてもコーヒーと気合いで計画を推し進めようと するが、スペンサーの場合、体が言うことを聞かず、またもベッドに縛 りつけられる。なんとも気の毒な話だが、ほかでもないこの障害こそ が、スペンサーを驚異的な存在にしている。そんな彼の口癖がこれ。

「私はこれまでの人生ずっと、〝体に障害がある幸運〟というべきもの に恵まれてきた」

おそらく今、あなたは私と同様に、えっ? と驚いたことだろう。 スペンサーは病状が重かった高校時代、セラピストの元に通った。 パーティやデートに行ったり、スポーツを楽しんだりといったごくふつ うの若者と同じことを望んだが、それらはたいてい現実的な選択ではな く、彼は打ちひしがれた。

セラピストはスペンサーに嘘をつけなかった。同年代の若者のような 生活を送ることはできない。しかしだからとって、彼が惨めになる必要はない。セラピストは、毎日何か一つずつやり遂げることに集中してみ るように助言した。もし一つのことを成し遂げられたなら、彼は自分に対してポジティブな気持ちを抱くことができる。スペンサーのエネルギーは限られていたが、一日に一つのことに焦点を絞れば、自分がしたいことで取り組めることがまだまだあった。 

ある日のそれは、夕食づくりだけだった。もし夕食を自分で料理できれば、彼はその日、目標を成し遂げたことになった。ほかの多くの活動 を諦めなければならなかったが、それでも彼は一つのことをやり遂げられたのだ。だから、スペンサーは毎日必ず一つのことをした。翌日もまた一つ。 その翌日も一つ。そして体調がすこぶる悪かった日にも、夕食だけは作った(当然、料理の腕も磨かれた)。 

病気と折り合いをつけながら生きる日々は、私たちが見過ごしている事実をスペンサーに気づかせた。人が一生のあいだに行うことはすべてトレードオフだという事実を。一つを選びとることは、ほかの何かをし ないことを意味する。スペンサーにとって、「これがやりたい」と「そ

のかわりあれを諦めてもかまわない」は必ずワンセットだった。 経済学で博士号を取得した彼が、身をもって「機会費用」を深く学ん でいたのは少なからぬ皮肉である。森の中で自給自足の生活を送ったこ とで知られる作家のヘンリー・デヴィッド・ソローは言った。「あらゆ るものの価格は、人がそれと交換する人生の総量である」。 限界について考えるのはあまり気が進まないが、その実、限界は誰にでも必ずある。見切りをつけることは、多くの場合、限界にまつわる問題だ。すなわち、限界を追求し、限界を最大限に活用し、そして何より限界を知ること。 

スペンサーに限らず成功をおさめた人びとの多くも、これと同様の視点でものごとを捉える。オリンピック選手に関するある研究に、次のような選手の言葉が引用されていた。

すべてのものは機会費用です。もし私が、余暇にハイキングではなく映画を観に行ったら、その場合の機会費用は? それはボート競技にプラスになるのか、マイナスになるのか。そこを判断しなければならないのです

見切りをつけることは、グリットの反対を意味するとはかぎらない。 「戦略的放棄」というものもある。あなたがひとたび夢中になれること を見つけたら、二番目のものを諦めることは、利益をもたらす。一番の ものにまわせる時間が増えるからだ。もっと時間があったら、もっとお金があったらと願うなら、これが解決法だ。とくにあなたが多忙な場合には、唯一の打開策だ。

人は皆、見切りをつけるが、いつでも明確かつ意図的にやめることを 決断するとは限らない。卒業や、親から止められるのを機にやめることもあれば、飽きてしまってやめることもある。私たちは機会を逃すことを恐れるが、皮肉なのは、非生産的なことを一刻も早くやめないがために、もっと重要なことをしたり、あるいは重要かもしれないことを試したりする機会を逸していることだ。

「あの仕事をもっと早く辞めればよかった」とか「あの関係はとっくに 終わらせるべきだった」と誰もが口にする。自分にとって意味がないと 思うことに見切りをつければ、もっと有意義な何かに取り組む時間を生みだすことができる。

ゴミ箱に捨てる

すでに登場してもらったミハイ・チクセントミハイは、世界で最もク リエイティブな成功者へのインタビューに基づく著書を出版しようとし た。ノーベル賞受賞者、全米図書賞受賞者、明らかに各専門分野の第一 線で活躍する人びとなど、二七五人の人びとに依頼状が発送された。世 界的に有名な研究者からの依頼で、のちに出版される重要な調査に参加 することは、大変栄誉なことと思われた。結果はどうだったか?

三分の一の人は参加を拒否した。それを上まわる人びとからは、返答 さえなかった。彼らは、それぞれ自分の仕事に追われていた。あのピー ター・ドラッカーからもらった返事にいたっては、次のようなものだっ た。

「おこがましく、無作法と受け取られないことを願いたいが、ここで生産性を向上させる秘訣の一つを申しあげたい……それは、こうした招待 状すべてを捨てる大きなゴミ箱を持つことです」 

チクセントミハイはこのような返事がくることを予期すべきだったか もしれない。ドラッカーに調査への参加が依頼された理由は、同氏が効率的にものごとをこなすという面での世界的権威だったからだ。

ドラッカーは、時間が最も希少な資源だと考えていた。彼が人びとに 薦めた第一の防衛策はスケジュール管理の向上ではなく、自分の目標を 達成するうえで、その進捗に寄与しないすべてのものを断つことだった。 実際、ドラッカーは著書、『経営者の条件』(ダイヤモンド社)のな かで次のように述べている。

自らが効率的であることを望み、なおかつ自分の組織が効率的である ことを望む経営者は、すべての事業、すべての活動、すべての業務を取 り締まる。彼は「これはまだやる価値があるだろうか?」とたえず自問 する。もし答えがノーならそれを取りやめ、熟達した技術をもって行わ れれば、確実に自分の仕事や組織のパフォーマンスに結果をもたらす限 られた数の業務に集中できるようにする。

自分が費やしているエネルギー・お金・時間に価値があるか

何にでもグリットを持って粘り強く取り組む人へ。あなたは病気の人の ように、自分の時間とエネルギーは有限だと認識しているだろうか?

A 自分にとっての最重要なことを心得ていて、それに集中している B 「やることリスト」が三〇〇個もあるので、今は答えられない

Aと答えたあなたは、やるべきことを知っている。

Bと答えたあなたは、ほとんど無意味なのに長年惰性で行っている活動や、ルーティンに時間を大幅に奪われているのではないか? 放送作家のアンディ・ルーニーは、自分が収集魔であることに気づき、どうにかしようと考えた。まず住宅ローンや公共料金、税金などを 加算し、家のために毎月いくら支払っているかを計算し、そこからすべ ての家財が一平方フィート当たりいくらの家賃を支払うべきなのかを割りだした。

冷蔵庫はその家賃に見合う価値があるだろうか? 十分その価値がある。では地下室に眠っている錆びたエクササイズ・マシーンはどうだろう? 家賃に見合う価値はない。では処分してしまおう。これと同じ概算を、あなたは自分の時間に関してやれるだろう。あまり価値を生まず、自分の目標にとって意味がない活動は減らそう。そうして空いた時間を、重要なことに進展をもたらすために使おう。 

すべてを完璧にやることはできない。成果に結びつかない活動に見切 りをつけ、その分の時間とエネルギーを、成果を生む活動に〝倍賭け〟 しよう。

(『残酷すぎる成功法則』エリック・パーカー)

残業せざるをえない業務・・・その仕事に満足しているか。

二〇一四年のギャラップ調査によると、アメリカ人就業者の三九%は 週に五〇時間以上働き、一八%は六〇時間以上働いている。こうした残業がもたらす利益は何か? スタンフォード大学の調査によれば、無に等しい。五五時間を超過すると生産性は急激に低下するので、「週に七〇時間働く者は、余分な一五時間で何も生産しないことになる」という。生みだされているのはストレスだけ。

社会科学と関連する経済的問題を扱う雑誌『ジャーナル・オブ・ソシ オエコノミックス』に掲載された論文では、残業ストレスによる幸福感 の減少は、残業代がもたらす幸福感の増加を上まわるとの調査結果が示された。お金では埋め合わせが利かない。(『残酷すぎる成功法則』エリック・パーカー)

エネルギーは限られている。集中させよう!『マインドフルネスストレス低減法』

マインドフルネスストレス低減法

注意を集中するという能力は誰にでもあります。しかし、その能力をいかにして高めていくかが 問題なのです。ストレス・クリニックの患者たちが体験したような変化は、注意集中力を高めるこ とによって得られるものです。注意集中力というのは、いわばレンズのようなもので、心の中に散 らばっているさまざまな思いや感情を集めて、生きるエネルギーや、問題を解決するエネルギー、 そして自分を癒すエネルギーなどへと集約していく役割をはたしているのです。

私たちは、外部の世界や自分の内部の世界での体験に対して、無意識のうちに自動的に反応し莫大なエネルギーを浪費しているのです。注意集中力を高めるということは、その浪費しているエネルギーを集めて利用する方法を学ぶということです。そして、それによって、おだやかな安定した状態と深いリラクセーションが得られ、心と体が癒されることになるのです。そして、生活や人生に対する見方が変わることで、豊かに人生をおくることができるようになります。さらに、ストレスのたまりやすい状況でも、また、恐怖心や孤立感に襲われるような状況でも、自分の内側からわいてくるエネルギーを有効に役だてることができるようになるのです。

そして、注意集中力を高めることによって、深いリラクセーションやおだやかさとともに、洞察力が生まれてきます。これは、おそらくあなたが今まで知らなかった世界のはずです。この世界に通じる道は、いつでもあなたの目の前にあるのです。あなたは、心と体、そして呼吸に注意を集中するだけでいいのです。あなたがどんな問題をかかえていようと、どんな病気をかかえていようと、その世界は、その気になればいつでもあなたの手が届くところにあるのです。注意集中力を高めることによって生まれてくるエネルギーは、あなたにとってその世界を手にするうえで大きな力になるはずです。 (『マインドフルネスストレス低減法』J.カバトッジン p.17)

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