「IQは70%以上、学業成績は50%〜60%が遺伝の影響がある」の意味。
安藤寿康教授の解りやすい説明があるので参考にしてください。また、「知能を決める遺伝子」というものはありません。遺伝子は組み合わせによって影響し合います。IQとは、IQテストの点数であり、学業成績は、学校や検定のテストの成績のことです。
IQは脳全体のつながりの良好さを表し、前頭葉が深く関係します。IQはパーソナリティー特性、ビッグファイブ の「開放性」に関わっていますが、他の指標との相関はありません。
――コメントで多かったのが、遺伝の影響という概念がわかりにくいということでした。例えば、肥満に関して遺伝率は88%、知能に関しては50%強ということですが、この数字はどう考えたらよいのでしょう? 安藤:遺伝率は、定義としては「表現型の全分散(ばらつき)に占める遺伝分散(遺伝で説明できるばらつき)の割合」ということなんですが、直感的には、「ある集団の中で相対的に、ある性質が後天的にどのくらい変わりやすい」かを表していると考えてください。つまり、遺伝率が50%の形質より、遺伝率80%の形質の方が、ある特定の社会の中で、環境によって相対的順位を変えにくいということを表しています。 https://www.excite.co.jp/news/article/NewsWeekJapan_E186723/?p=2
環境は遺伝子をあぶり出す。環境が遺伝子を選ぶ。
遺伝子は、環境によって「表現」されるものです。遺伝子自体が増えたり減ったりすることはありません。環境に応じて、出てくるものです。もしストレスで前頭葉のDNAがメチル化されているなら、本来もっていた「いい」遺伝子が「表現」されるにも時間がかかるでしょう(目下世界が研究中です)。
こんなエピソードがあります(どの本で読んだかは忘れました)。あるスラム街に住んでいた女の子が、保護されました。彼女は犯罪やドラッグ、暴力の世界に暮らしていました。彼女はとあるソーシャルワーカーと出会い、貧困者のための教育組織の支援を受けて、勉強を始めました。そして「夢」を叶えるために大学へと進みました。
彼女が住んでいたような環境では、そもそもの「機会」がありません。なので「自分の現在と未来をつなぐ新しいストーリー」と「安心できる居場所」の存在で、IQが高まった(というより、使えるようになった)のでした。
日本における教育とIQとEQ
日本では「貧困で学校に行けない」ことはありません。だからIQの高さはすぐに目につきます。ですが、IQが高くても人間関係や理不尽な扱いといったストレスに対処できない状況では、IQの総本山である前頭葉がうまく働かず、せっかくの遺伝子が力を発揮できないことがあります。 また、遺伝の影響が大きいIQ、学校の成績に比べて、「しあわせ」の重要な要素であるEQは生まれた後から「学ぶ」ものです。(凶悪な犯罪者は共感能力がかけておりEQは低く、これは遺伝で説明することができるといった例外はもちろんあります。ただし、犯罪性のある遺伝子を制御する能力が低いということができます)
「プロジェ クト・スペクトラム」は、人間の能力を学校で教わる読み書きそろばんよりはるかに広範囲なも のとしてとらえ、ジュディが見せた社会的知性のような資質も教育の場で無視したり制限することなく伸ばしてやるべき能力としてとらえている。 子供たちが将来人生で成功をつかむのに必要 な、あるいはそれぞれの道で満足を得るために役立つ多様な才能の開花を応援する学校は、「ラ イフ・スキル」を教育する場になる。 「プロジェクト・スペクトラム」に理論的骨格を提供しているのは、ハーバード大学教育学部の心理学者ハワード・ガードナーだ。ガードナーは、次のように語っている。「そろそろ才能というものをもっと広範囲にとらえるべき時期にきていると思います。子供の発達のために教育がなしうる唯一最大の貢献は、その子が自分の才能に最もふさわしい方面に進んで能力を発揮し満足 して生きられるよう応援してあげることです。私たちは現在、そのことが見えなくなっていま す。いまの学校教育は、生徒全員を大学教授に仕立てようとするかのような内容です。そして、そのような狭い基準に合うかどうかだけですべての学生を評価しています。学校はいいかげんに 子供をランクづけするのをやめて、子供たちがそれぞれに持って生まれた才能や資質を見つけ、 それを伸ばしてやることに力を注ぐべきです。成功にいたる道は何百何千とあるのだし、そのた めに役立つ能力だってじつに多種多様なのですから」。(『EQ こころの知能指数』ダニエル・ゴールマン p.65)
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発達障害?と遺伝子とIQ
発達障害といわれるものは「平均よりも知能が低い」ことを表しています。発達にも4つの観点があり、一人の人間にも得手不得手があることに真新しく名前をつけただけです。
授業についていけない、のは、授業についていけない子でも進級させる、授業についていけずにわからなくてもどんどん進むだけという環境が作り出した「人災」です。遺伝的要因で「多動」と呼ばれる子もいれば、授業という時間のプレッシャーに耐えられない「敏感」な子(HSCと呼ばれたりします)もいます。こういった気質をもった子どもたちにとって歪「環境」とどうつきあったらいいのかを、もしくはそこで感じるストレスに対応する方法を大人が示してあげること、手伝うこと、励ますことが大切だとおもっています。
赤ちゃんの時、おしめを変えていたように、情動的な排泄物もきれいにとってあげる、自分で出す方法を身につけて行く、というプロセスを大切にしたいとおもっています。
学力は遺伝子の影響を受ける
学力は環境が半分、遺伝が半分、の意味現代のペーパーテストは情報処理能力を問うものです。で、情報処理能力は生まれつきだいぶ決まっており、また9歳にはほとんど決定的になります。 だからこそ塾に行ったり自称進学校に行って環境をよくしようと考える人がいますが、環境に対する反応自体が、遺伝子に左右されています。つまり、遺伝子は決定的に環境の意味を決めてしまう、ということです。 能力は人によって違います。 「学ぶ準備ができたら」始めましょう。 学校のスピードは「早熟な子だけついてこい」です。 小学校で分数を習っても、半数が「理解できない」状態です。 繰り返します。 学校は「子どもの成長」に合わせてはくれません。
遺伝子の影響を超えるには?
実は可能です。成績を伸ばすためには何が必要でしょうか。- 一つには環境の「意味」を変えること=自我の成長
- 一つには別の「意味」を与える環境に変えること=別の遺伝子に発現してもらう
成績が伸びない理由【やってもわからない】『SQ 生きかたの知能指数』より
「やってもわからない」
ミーヴァの通う学校は、ニューヨーク市内でもとくにしい地区にあった。ミーヴァは一三歳で六 年生、つまり普通より二年遅れている。二回落第しているのだ。 しかも、ミーヴァは問題児のレッテルを貼られていた。教師のあいだでも、頻繁に教室を飛び出して一日じゅう学校の廊下をうろつきまわるミーヴァの行動が問題になっていた。 新しく英語の担任になった女教師のパメラも、ニーヴァについてはいろいろと問題があると聞かさ れていた。そこで、最初の授業の日、生徒たちに文章読解の課題を与えておいて、パメラはミーヴァ の席へ行った。ほんの一、二分で、問題の所在がわかった。ミーヴァには幼稚園児レベルの読書能力しかなかった のだ。 「問題行動の多くは、勉強がわからないことから来る不安が原因なのです」と、パメラは話してくれ た。「ミーヴァは、あてずっぽうで発音することさえできませんでした。こんな状態で彼女が六年生 まで進級していたことがショックでした」 その日、パメラはプリントを読みあげてミーヴァの勉強を手伝ってやった。同じ日の夕方、パメラ はミーヴァのような生徒の補習を担当する特殊学級の教師に会いにいった。二人の教師は、今回がミ ーヴァを救う最後のチャンスだと感じた。特殊学級の教師が毎日ミーヴァに文字の読み方を教えるこ とになり、初歩のレベルから補習が始まった。 「それでも、他の教師たちから警告されたとおり、ミーヴァの問題行動はおさまらなかった。授業中 はたえず喋りつづけ、他の生徒には強気で横柄な態度をとり、すぐにけんかを始める――英語の授業 をさぼるために、ミーヴァはありとあらゆることを企てた。さらに、「わたし、こんな勉強やりたく ない!」と怒鳴っては教室を飛び出し、学校の廊下をうろつきまわるのだった。 ミーヴァの抵抗にもかかわらず、パメラは根気強く英語の授業中にミーヴァを助けつづけた。ミー ヴァが他の生徒に対してかんしゃくを起こしたときには、他の生徒のいない廊下にミーヴァを連れ出して、賢明な対処のしかたを二人でじっくり考えた。 何よりも、パメラはミーヴァに対して、あなたのことを気にかけているのよ、というメッセージを 伝えた。「わたしたちは冗談を言いあい、暇な時間を一緒に過ごすようになりました。彼女はランチ を食べたあと、わたしの教室に顔を出すようになりました。わたしはミーヴァの母親にも会いにいき ました」 ミーヴァが字を読めないと知って、母親はパメラと同じくらい驚いた。ミーヴァの母親は七人の子 供を抱えて忙しく、ミーヴァの問題にまで目が届かなかったのである。学校でも、ミーヴァの問題は 見過ごされたままだった。パメラはミーヴァの母親と話をし、娘のしつけに気を配り、家庭で宿題を しているときには見てやってほしい、と頼んだ。 ミーヴァの一学期の成績表――パメラが英語の担任になる前は、それまでと同じく、ほとんど の科目が落第点だった。しかし、パメラが四カ月かかわっただけで、ミーヴァの成績ははっきりと向 上した。 二学期が終わるころには、ニーヴァはいらついた気持ちを隠すために廊下をうろつきまわる行動を やめ、教室できちんと授業を受けるようになった。なにより重要なのは、すべての科目で及第点 ぎりぎりの及第ではあったが――をとったことだ。しかも、数学は驚くほど良い成績だった。ミーヴ アは初等二年分の読書力をわずか数カ月で身につけた。 ある日、ミーヴァは一緒に勉強している生徒たちの中に自分よりも文字の読めない生徒が何人かい ることに気がついた。その中に、西アフリカから来たばかりの少年がいた。ミーヴァは、その少年に 読み方を教える役を買って出た。 人間関係などのスキルをくりかえし教える内容になっている。この種の教育プログラムの成果を一○○例以上も分析した結果、興奮をコントロールする能力や人間関係を円滑に処理する能力に向上が認 められただけでなく、学習能力そのもの(すなわち成績)にも向上が認められた。教育プログラムを 受けた生徒たちは、そうでない生徒たちに比べて、実力テストの成績が一○パーセントも高かったの である。 「教師の思いやりが生徒に伝わると、右のような教育プログラムはとくに成果が上がる。しかし、こ のような教育プログラムの有無にかかわらず、教師が生徒に共感を示し生徒のニーズに対応する環境 を作ることができれば、生徒の成績だけでなく学習意欲そのものが向上する。生徒を支えてやろうと 努力する大人が学校に一人でもいれば、それだけで生徒は変わってくる。 ニーヴァのような子供たちは、パメラのような教師を求めているのだ。
先生次第
パメラとミーヴァの特別な心の結びつきは、子供の学習を助けるうえで非常に有効な方法のひとつ だ。学校――教師、他の生徒、あるいは学校そのもの――と心の結びつきを感じている子供はそうで ない子供と比較して成績が優秀である、と指摘する研究が次々に発表されている。こういう子供たち は、現代の青少年を取り巻く危険に対しても抵抗力がある。心の結びつきがしっかりできている子供 は暴力、いじめ、破壊行為に走る割合が低く、不安やうつ状態に陥りにくく、薬物や自殺、無断欠席 や中途退学の例も少ない。 ここで言う「心の結びつき」とは、ただ何となく仲良くする、ということではない。学校にかかわ る人々―――他の生徒、教師、職員などとのあいだに情動面のつながりができていることを言う。 こうした心のつながりを育む有効な方法は、パメラとミーヴァのように心の波長を合わせることだ。 パメラはミーヴァにとって「安全基地」となった。 ミーヴァのように落ちこぼれる可能性のある下から一○パーセントの生徒にとって、これがどんな 意味をもつか、考えてみよう。全米から抽出した九一〇人の小学一年生を対象に、訓練された観察者 が教師の教え方を評価し、教え方によって落ちこぼれそうな子供たちの学習成果がどのくらい違うか を調べた研究がある。最も結果が良かったのは、次のようなタイプの教師だった。
- 生徒と波長を合わせ、生徒の欲求、気分、関心、能力に対応し、それに合った相互関係を育む教
筋。
- 楽しい会話やたくさんの笑いと興奮で教室を快活な雰囲気にする教師。
- 生徒に対して温情と「肯定的視線」を示す教師。
- 生徒に対して明確かつ柔軟な期待と日課を示し、生徒が自主的に規則を守れるように工夫するな ど、学級運営がうまい教師。
結果が最も悪かったのは、「我 – それ」の姿勢で生徒の波長を無視して教師自身のやり方を押しつ ける教師、感情面で生徒と親しくかかわろうとしない教師、などだった。こういう教師は生徒に対し て腹を立てる場面が多く、秩序を回復するのに懲罰的方法を使わなければならなかった。 もともと成績の良い生徒は、どんなタイプの教師でも影響はなかった。しかし、落ちこぼれそうな 生徒が冷淡で支配的な教師に担任された場合には、教師が学習指導要領にきちんと準拠して教えても、 学習効果にマイナスの影響が出た。一方、温情があって生徒の声をよく聞く教師が担任すると、落ち こぼれそうな生徒たちも能力を発揮し、他の児童と変わりなく学習成果が上がった。 心のつながりを作れる教師の指導力は、小学一年生向けに限ったものではない。こういう教師が六 年生を担任すると、その一年間の成績が向上するだけでなく、翌年の成績にも好影響が認められた。 良い教師は、良い親と同じだ。「安全基地」を用意してやることによって、教師は生徒の脳が最高の 力を発揮できる環境を作る。「安全基地」は「安全な港」となり、生徒はそこから冒険に出ていって 新しいことを学ぶ。
共感が花開く教育
生徒が不安をコントロールする方法を身につけ、注意を集中することをおぼえると、「安全基地」 は生徒の中にしっかりと根づく。すると、生徒は最高の力を発揮できるようになる。そのための「社 会・情動教育」プログラムは、すでに多数考案されている。中でも優れたプログラムは各学部の標準 教育課程にぴったり合うよう作られており、自己認識、不快ストレスのコントロール、共感、円滑な人間関係などのスキルをくりかえし教える内容になっている。この種の教育プログラムの成果を一○○例以上も分析した結果、興奮をコントロールする能力や人間関係を円滑に処理する能力に向上が認 められただけでなく、学習能力そのもの(すなわち成績)にも向上が認められた。教育プログラムを 受けた生徒たちは、そうでない生徒たちに比べて、実力テストの成績が一○パーセントも高かったの である。 「教師の思いやりが生徒に伝わると、右のような教育プログラムはとくに成果が上がる。しかし、こ のような教育プログラムの有無にかかわらず、教師が生徒に共感を示し生徒のニーズに対応する環境 を作ることができれば、生徒の成績だけでなく学習意欲そのものが向上する。生徒を支えてやろうと 努力する大人が学校に一人でもいれば、それだけで生徒は変わってくる。 ニーヴァのような子供たちは、パメラのような教師を求めているのだ。(『SQ 生きかたの知能指数』ダニエル ゴールマン p.415)
人はどこまで遺伝に左右されるか。『問いからはじめる発達心理学』
『問いからはじめる発達心理学』坂上 裕子 さんが書いた本。発達心理学の本をいろいろ読んだが、僕いんはこれがよかった。 ーー ー 生まれつきのものと、生まれてから育っていくこと。 遺伝と環境の二つで悩むことがある。 「これは、環境を変えれば、良くなるものなのだろうか?」 「これは、もうその子らしさとして、認めたらいいのだろうか?」 僕は環境が与える影響が大きいと思っている。 生まれつきのものを、どう生かすかという視点に立っている。 もし◯◯だからといって子供の環境を限定・制限してしまって他の可能性がなくならないだろうか。 そういう心配をしてしまう。 で、ーー ーー 最近読んだ本で、初めて見るデータを見たのでふむふむと頷く。 グラフの色のついた部分は「環境」であって、白い部分は「遺伝」であるという研究データだ。 これをみると。。。 論理的推論能力と空間性知識の二つは有意に遺伝の影響が大きい。 言語性知識はほとんど環境だ。 (もちろんこのデータの中にはいわゆる発達障害と呼ばれている人はおそらくいないであろうが) 「性格」と呼ばれているものも大体、環境だ。と僕は思っている。 デフォルトもあるだろうが、結局、育ちながら磨かれていく「性格」は環境に応じて変わる。と僕はおもっている。 (3歳までに関わった大人の価値観に左右されると考えたらいい。もちろん、それ以後の経験、特に思春期前後の経験も、性格を形成する大切な要因になるだろう) で、ーー ーーー もし論理的推論能力が遺伝による影響を大きく受けるというのであれば、その割合が気になるところ。 論理的推論能力が高い子と、低い子の割合は一定なのか。 まぁそんなこといっても、結局はその子その子の暮らしには条件がある。 限られた条件の中で、資源をどう使うか。 結局、大人の振る舞いというのは、ほとんど、祈りのようなものだともおもえる。 遺伝であろうが、環境であろうが。 子育ては、物語を紡ぐことだと、今、ふとおもった。 どんな物語を、誰と繋いでいくのだろう。 血縁関係よりも、村という単位とは違った価値観が生まれた新しい時代で。 関連した記事も是非お読みください^^
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