『未来のイノベーターはどう育つか』トニー・ワグナーのメモ

未来のイノベーターはどう育つか
『未来のイノベーターはどう育つか』トニー・ワグナー

この本に出てくる「具体例」はだいたいどこぞのお偉い人、教育に信念をもって、慣習に流されずに育てた人たちの物語。
オトノネは一流の学習者しか育てるつもりがないのだなと、再確認。

日本でこうした子育ての本が出るとすれば「東大合格子育て」みたいなやつばっかり。
オトノネは一流の学習者しか育てるつもりがないのだなと、再確認。

イノベーターとは?
すごい人、新しいことをする人、変化を生み出す人、社会的に影響力がある人、という意味では少し狭いと思う。
自分の人生を自分で選んで自分の納得いくようにつくりあげていく人だと僕は思う。

諦める人、これでいいやと思う人はイノベーターではない。

世の中には「うちの子が素敵な人と出会うように」というお父さんお母さんがいるという。
自分ちの子供をその「素敵な人」にすることを考えていないのか。

イノベーター教育とは、お子さん自身がたくさんの人の笑顔をつくる「素敵な人」にお子さんをしたい人が今すぐ始めるべき
教育方針だとおもう。そしてそれは、オトノネの方法そのものだ。

イノベーターは選択肢を作る。そして多くの人がそれを共有できるようなしくみもつくるかもしれない。
自分の人生は限られていない。選べる。学び、見つければ、道は自分で作れるのだということを学ぶこと。
それがイノベーター教育だ。

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イノベーターとは、自分の中にある天の才をそのまま育てることだ。
遊びの中でそれを育てながら、情熱をもって突き詰め、社会的な背景のなかで目的意識をもって人々と繋がって行く。
個人的な趣味でとどまるのでは、イノベーターではない。イノベーターとは、社会的な仕事をする人のことだ。会社員として仕事をする人のことではない。一人の主婦がイノベーターになることもできる。ホームレスがイノベーターになることもできる。もちろん、子どもも。

レールの上をガタゴトとドナドナと進んで行く人生がある。
ドナドナを歌いながら楽しむ人生もある。
どんな子に育って欲しいのか。
そのために、具体的に何をしたらいいのか。

遊び、情熱、目的意識というプロセスを作り上げることだという。

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内的モチベーションには遊び、情熱、目的意識という3つの要素がある。

遊び

遊びを通じて学ぶのは乳幼児だけではない。マサチューセッツ工科大学(MIT)の卒業生で、現在同大のメデゥアラボの講師をしているヨースト・ボンセンは、MITの有名ないたずらの伝統について話して暮れた。「独創性は、人間お中核をなす」とボンセンは言う。「私たちは好奇心があって、ふざけるのが好きな動物だ。ここMITでのいたずらの伝統をみるといい。ある時など15階建てのビルほどの高さがある大ホールの丸屋根に警察のパトpロールかーが置かれていたことがある(これはMITのいたずらではいちばん有名なものだ)。そこへの出入り口は鍵のかかった上げ蓋しかない。そんなことをいったいどうやってやったのか。まずパトカーは張りぼてで、警備の目をかいくぐってドームのすぐ下まで運ばれた。一番難しいのは、それをドームのてっぺんまで運び、見つからないように、そして怪我をしないように降りて来ることだ。警備員の動きをチェックして、注意をそらす仕掛けも必要だ。これらすべてをやり遂げるためには緻密な計算と、途方もなく大きなリーダーシップとチームワークが必要だ。(『未来のイノベーターはどう育つか』トニー・ワグナー p.40)

情熱
スティーブ・ジョブズは生前、若き起業家へのアドバイスを求められた時、こんなことを行っている。

「私のところにやって来て『起業家になりたいのです』という人は大勢いる。そこで私が『そりゃいね。どんなアイデアがあるんだい』と聞くと、『まだアイデアはありません』と言う。そんなとき私は、『自分が本当に情熱を傾けることが見つかるまで、ウエーターか何か仕事をするんだな。ウエーターだって大変な仕事だから』と言うことにしている。かなりの自信を持って言えるのだが、起業家として成功するかしないかの半分は、根気で決まる。……だから自分が情熱を感じられるアイデアや課題、あるいは正したいと思う間違いを見つけなくちゃいけない。さもないとそのために粘る根気が続かない」。(『未来のイノベーターはどう育つか』トニー・ワグナー p.41)

イノベーターたちの目的意識、それは例えば「歴史をつk類たい」とか「世界をあっと言わせたい」とか「世界をより良い場所にするためには快適になりたい」など、変化を起こすという使命感をもっている。

目的意識

私が話を聞いた若きイノベーターたちの人生には、遊びが情熱、そして目的意識へと進化していく線がはっきり見えた。彼らは子供時代に大いに遊んだが、その遊びは多くの子供の遊びと比べると極めて無秩序なものだった。そこには試行錯誤によって物事を探り、実験し、発見するチャンス、つまり冒険して失敗する余地があった。子供時代のこうしたクリエーティブな遊びを通じて、彼らは情熱を傾ける対象を(多くは青年時代に)みつけた。しかしその情熱を追求する過程で、関心の対象が代わり予想外の変化が起きる。それは新たな情熱を育み、時間が経つにつれて、よりh各成熟した目的意識へと発展していく。それはグループでやる大人の遊びのようなものだ。遊びが情熱、そして目的意識へと発展していく旅を通じて、彼らはアマビール教授が「クリエーティブな思考」と呼ぶものを身につけ、本物の「専門性」を獲得していった。たいていは」その過程で、内的モチベーションを育みながら。彼らは一定のリスクを引くいけて、辛抱することの重要性(とIDEOのモットー「速い段階でしょっちゅう失敗しろ」が重要である理由)を学ぶ。物事を学ぶ過程で失敗が果たす役割について、オーリン大学のある学生はこう言っていた。「『失敗』とう考え方はしない。これは『繰り返し(リテレーション)』だ」。だが若きイノベーターたちは、こうしたことをたったひとりで学んだわけではない。その過程で親や教師やメンターなど、少なくとも一人(しばしば複数)の大人のサポートを受けていた。(『未来のイノベーターはどう育つか』トニー・ワグナー p.43)

若きイノベーターの肖像

人がモノを創ったりイノベーションを起こしたりするには、内的モチベーションが必要だと言うことを話した。また兄的モチベーションを育てるには、子供のときの遊び、10代の情熱、大人になってからの目的意識が重要だと述べた。カークは子供の時、遊びを通じて身の回りの環境を探り、自分意図っていちばん興味のあることをみつけるよう励まされた。そしてその過程で科学とものづくりへの情熱を育んだ。だがいちばん重要なのは、早熟な子供を持つ多くの親と違って、カークの両親が息子は将来科学者になると決めつけて、カークの進路を固定してしまわなかったことではないか。フェルプス夫妻は、カークが探求を続けるよう後押しした。カーク自身も言っている。「両親はぼくが何に興味があるのかはあまり重要視していませんでした。むしろ僕が本当に興味のあることをみつけるプロセスが重要だと思っていました」と。フェルプス夫妻が常にサポートしてくれたからこそ、カークは大学時代も情熱を持って進化を続けられたのではないか。カークは、自分が本当にやりたいのは科学ではないと気づき、コンピューターサイエンスを学んでみたが、それもしっくりこなかった。だが、ついにスマートプロダクトゼザインという授業と出合い、自分がやりたいのは、仲間と形あるモノをつくることだと気が付いた。さらに授業助手という経験を通じて、その情熱は深い目的意識に進化したようだ。(『未来のイノベーターはどう育つか』トニー・ワグナー p.59)

学びのイノベーション

「この子たちは本当に偉い」と、ローゼンバーグはいう。「私だったら彼らの多くが経験してきたことに耐えられたかどうかわかりません。彼らは他人との結びつきや、まじめに受け止めてもらうことや、生きる目的を渇望しています。だから人お人を結ぶ糸を見つけて、タネを巻き、目的意識を育む手段や枠組みを与えてやるのが私たちの仕事です。目的意識がある人間は、多くのことに耐えられる。この部分が現在の教育システムにはすっぽりかけています。目的もわからずにあんな暗記作業をやりたい人間なんてどこにいるでしょうか」ローゼンバーグの問いは的を得ている。彼は生徒たちの情熱を目的意識を育てて、勉強する理由を持たせた。そして学校の玄関で子どもたちが「遊ぶ」様子を観察して、自分たちの遊びをもっと本格的にやってみろと挑発した。子どもたちが好奇心を持って学ぶ出発点として、音楽と若者文化を利用したのだ。ローゼンバーグの助けで子どもたちの「遊び」は情熱になり、その情熱が時間をかけて強烈な目的意識に発展し、子どもたちは成功に欠かせない自制心を養って言った。シリータの高校にローゼンバーグのような先生がいたら、つまり若者文化を真剣に受け止め、その活力とメイナス面の両方を子どもたちが理解できるよう助けてくれる人がいたら、シリータにとって大きな助けになっただろう。ローゼンバーグは子どもたちに、自分の経験や考えをもとに、自分の文化を作るよう教えていたのだ。本書で紹介してきた創造力豊かな教師たちと同じように、ローゼンバーグは実践的で、分野横断的で、グループベースの学習環境を創った。それはローゼンバーグ自身が子どもたちの内的な学習意欲を発見し、伸ばしてやれる環境でもある。そして彼もまた、学校では例外的な存在で、重要な活動の一部を学校の外に出さなければならなかった。ローゼンバーグの成功は、子供たちに深い敬意を払いながら信頼関係を築く重要性を示している。彼は子供たちの「目を見つめた」だけではない。カレッラの話に長い時間真剣に耳を傾け、子どもたちが自分のアイデアや夢を声に出すのを手伝った。若者たちがいうことの中には、挑戦的だったり破壊的なこともあるだろう。だが私たちが本当に「ひとりも落ちこぼれを作らず」に、すべての若者をイノベーターにしたいなら、そうした意見が出てくるリスクも受け止める必要がある。(『未来のイノベーターはどう育つか』トニー・ワグナー p.189)

これはアタッチメントの本当の意味に通じると思う。約束ができる人。言葉を信じてくれる人。

かつて韓国で演劇をしていた時に、ある舞台俳優はこう言った。「自分の言葉を、セリフを信じてもらえるように舞台の上で努力をするんだ。自分が本当に観客に伝えたい言葉に注いだ魂を観客に伝えるためには、信じてもらわなくちゃいけない。」

親であれ、教師であれ、「この人の言葉を信じよう」「この人がいうならやってみよう」と思ってもらうこと。
そうした大人の存在が、子どもの「遊び」を「情熱」にして、さらには「目的意識」へと変化させるために大切だ。

子どもがそれを自然に、誰の手も借りずに「遊び」を「目的意識」つまり社会的に価値のある活動にすることは困難だ。日本ではそれがスポーツや学習発表会、大会の中に閉じ込められている。スポーツ・音楽は「遊び」であり、「情熱」を注ぐように大人は促す。そして大会という「目的意識」が準備されている。これが遊びではなく仕事となり、情熱ではなく忍耐になっていく子どもの姿をみると、どうも大人たちは本当にスポーツや音楽を理解しているとは思えない。強制参加、罰。こうしたものはどれも創造性には結びつかない。その先にあるものは、管理社会。(といってもケジメ、教えるべきことはきちんと教えること。教えるべきことはなんなのか、きちんと大人が見定めること)

自由な環境で育てる、というお母さんの方針があるとしよう。
子どもは選択ができる。どうしようかな、といつも考える。

だが。
だが。

それが社会的に有意義な、人に認めてもらう経験をしてきただろうか。
大会に出て、人を感動させた。いいだろう。けどそれは「つくられた仕組み」の中でのはなしだ。
与えられた環境の中で想定されている行為をしただけの話。

選択肢から選ぶ以上に、情熱をもって、そこにないものを選び取るチカラが、イノベーションの能力。創造性。
このための練習を高校生くらいに経験した子どもは、しあわせだ。

イノベーションとは。
人が活動した結果、一番笑顔が増える行いのこと。
人が笑顔になるしくみをつくること。

与えられた仕事をこなして、目の前の人を笑顔にすることは、とても素晴らしいことだけれど、「情熱」が溢れ出て「目的意識」をもって変化を起こしていこうとしなければ、笑顔が社会的にならないならば(それはそれで素晴らしいことなのだけれど)、イノベーションとはいえない。文化を作り出す。例えばガンジーのような人間。歴史を作り出し、文化を作り出す。それがイノベーション。目の前の人を笑顔で変えていくのもイノベーションといってもいい。ただそれが笑顔の消費で終わるのではなく、「新しく」何かが生まれてくるならば。「イノベーション」とはそういうものだ。

かつて、川手鷹彦さんと出会ってこんな話を聞いたことがある。
川手さんは芸術の持つチカラを子どもたちと共有しながら心を育てる人。
http://kawatetakahiko.info/

とある子どもの集まりで、どうしても子どもがばたばたと落ち着かずに、ジャンプかなにかをしていた。そこで川手さんは、その行為を「もっとやってごらん!」と子どもに言葉をかけた。その後、その子は満足して落ち着いたと同時に、その場の雰囲気がよくなったという。

同じような話が、プロセス指向心理学にもある。ようするに身体の何かしらのメッセージを強めていくことで、無意識のメッセージがわかったり、無意識の心の働きが強まることで、膠着していたもの、ふさがって表現できていなかったことが出てくるというもの。これをむやみに押し殺したり、説得したり、わきまえさせたりすると、何も変化が生まれない。心が動かない。

学びのイノベーション 遊び

いい科学の教師になるには、科学をおもしろくしなければいけません。つまり子供たちが科学を『モノにする』こと、授業の内容を体得できるようにする必要があります。そうすれば子供達はやる気になるのです。もう一つの問題は、州の定めた広範な知識を教えるには、子供たちに答えを見つけさせるのではなく、教師が答えを教えなくてはいけないと教師たちが思っていることです。でもいちばん重要なのは、生徒が自分で疑問を持ち、自分で答えを探す余裕を与えてやること。そうやって学んだ方が、実際にはずっとたくさんの知識を覚えて入られます。(略)APの授業は生徒の口に知識を流し込んでいるような気がする。テストのために大量の知識を暗記させるけれど、応用する機会は一度もないのです。子供たちへのプレッシャーは大きく、そのせいで科学への愛が失われてしまう。究極的には、APの授業は大学に向けたいい準備にもならない。APのテストで一番高い成績の5をいくつももらって大学で生物入門の授業を取る必要がない生徒が、その上のレベルの授業で苦労する例は多いのです。自分が学んだことを応用する能力を身につけていないからです。(略)アロンゾは自分尾教え方の中心に遊びと情熱と目的意識をすえることで大きな成功を納めた。その一方で、APha科学を学ぶ「愛を奪って」しまうから、APの授業を受け持つのを断っている。(『未来のイノベーターはどう育つか』トニー・ワグナー p.193)

知を愛する自由を剥奪していないか。
その子がもっている世界への扉を閉ざしていないか。「こっちからみなさい」といっていないか。
とある本で「つぶれるようなものは個性ではない」という発言をどこかの偉い小学校の先生が言っていたのを思い出す。

デザイン、というものを、この先生は知らないのだろう。

生物学者のマルコム・キャンベルも同じことを語った。「子どもが自分の関心にふけるに任せておくのがいかに重要か私は学んできました。水玉模様の服と縞模様の服を一度に機体なら、それでいい。食べ物で絵を描きたいならそれでもいい。そのあとの掃除もきちんとやるならね」(『未来のイノベーターはどう育つか』トニー・ワグナー p.253)

教えるべきことは、ちゃんと教えるということ。

ヂュカクは基本的なルールを守らせることと、「反逆児」になるのを許すことの境界線について語った。「親としていちばん重要なのは、子供の意見を尊重して耳を傾けること。でも自由にさせすぎないことも重要で、限界、境界線、秩序は必要です。ただしそれが多すぎると、つまり従順にさせようとすると、クリエーティブな衝動を殺しかねない。難しいのは、権威への敬意と、建設的な関与や建設的な犯行のバランスをとることです。強くなることを教えつつ、超えてはいけない壁を与えること。イノベーションは不服従と切り離せませんが、イノベーターになって銀行強盗をいsていたら始まらない」。私が話を聞いた親の多くは、子供のスケジュールをいっぱいにせずに、自由な遊びと発見の時間をたっぷり与える重要性に言及していた。彼らは皆子供達と時間をしたり遊んだりするのを楽しみつつ、「ヘリコプター・ペアレンツ」にならないことが重要だと理解していた。(略)ダンバービルト大学のクリスティーヌ・ソーンダース特任准教授(薬学)も、リンチと同じ意見だ。ダンバードからブラウン大学などの大学院に進む学生は、そのためにものすごく努力しています。でも自分が何をやりたいかはわかっていない。探求することはではなく、いい成績をとるように追い立てられてきたからです。自分が何に興味があるかわからない若者があまりに多いことには衝撃を受けます。私は自分の娘に、息をついて、考えて、自分のイマジネーションを使う時間をもっと持って欲しい。でも、よその親が子供のスケジュールを細かく組んでいるのをみると、自分が少数派で流れに逆らっているとよく感じます」。カーク・フェルプスの母親リア・フェリプスが、子供達の放課後を習い事やクラブ活動でいっぱいにせずに、外で自由に遊ぶ時間を確保しようとしたのをご記憶だろう。「面白いと思うことを自分で見つけられない子は、いつまでも退屈しているしかない」と、リアは言っていた。(『未来のイノベーターはどう育つか』トニー・ワグナー p.253)

彼らの意見はある一点で完全に一致している。おもちゃを減らすこと。与えるとすれば、想像力と発明を促すおもちゃにすること。(略)投資マネージャーのリンチの場合、子どもたちのいちばんのお気に入りの「おもちゃ」はスカーフだったという。「犬にスカーフを巻いたり、スーパーマンのマントみたいに自分に巻いたり。さらに読み聞かせしていた『ギルガメッシュ叙事詩』から思いついた遊びの衣装にもなりました。(『未来のイノベーターはどう育つか』トニー・ワグナー p.255)

ベス・ワイズ副園長は、子どもたちの想像力と創造力を伸ばす上で最も重要な「おもちゃ」と考えるものを教えてくれた。「砂、水、年度、絵の具、ブロックでしょう。こうした素材を扱えるようになると、なんでも作れます」。スクールにはコンピューターとデジタルカメラもあって、子供達が使えるようになっている。子供達はこうしたツールの使い方を学ぶと同時に、友達と一緒に使うことで社会性を養う。(略)ハートマン園長は、さらに説明してくれた。「私たちは子供の決定や選択に基づき指導する。子供たちが何をしようとしているのかを見極め、助けます。そのためには、子供達が何に関心を示しているのか見逃さないようにしなくてはいけません。教員の観察力が要求されます。ハートマン園長やワイズ副園長は、ビングの生徒たちに遊びから何をいちばん学んで欲しいと思っているのだろうか。ワイズ副園長はすぐに答えてくれた。「観察すること、問題を解決すること、自分の立場を決めること、他者に共感すること、複数の方法を使って問題解決を試みること、学ぶのを愛すること、そしてデザイン思考の能力」。そこに読み書き計算は入っていなかった。(『未来のイノベーターはどう育つか』トニー・ワグナー p.258)

今、日本の保育園では遊びを「発展させる」環境をつくるのだという。そのレベルに達していない、大人も子供も叫び声をあげていたり、鼓笛隊で子供を管理したり、大人が「させる」ことの多い園がたくさんあるのも事実だが。。保育士が子供を観察するとき、子供に手を貸しすぎていないか。日誌には子供がどんなことをしたか、遊びを発展させたかという目に見えるレベルではなく、子供がこれからどんな遊びにそれを発展させようとしているのかに目を向けられているか。どんなことに関心があって、次にどんなことに挑戦しようとしているのか。「この遊びをしたから、今度はこの遊びができるようにしよう」といって、遊びを準備するのではない。たくさん「遊ばせた」保育士が優秀なのではない。優れた教師、保育士は統率力があるのではない。管理能力があるのではない。観察力がある。観察する能力を鍛えるためには?日誌に書くのではなく、保育士同士が、教師同士が生徒のことについてもっと話し合う、気づき合う時間をつくらないといけない。日誌に記録する時間よりも、大切なこと。休憩室でみんな机に向かって一人一人が孤立して日誌を書いている保育園。資質向上は研修でなくて、現場でなされる。

ビングでは、読み書き計算に重点を置いていないが、本はたくさんあって、子供たちが気に入った本を読み受けることがd毛いるようになっている。教員が読み聞かせをすることも多い。するとよく子供たちはその物語を劇にする。こうなると本は、子供にとって遊ぶ道具の一つだ。(略)子供が成長したら、自分で読む習慣をつけさせることも重要だ。カーク・フェルブスの母親リアは毎日、学校の宿題とは関係のない本を読む時間をかならず設けていた。彼女の子供たちは、自分もいつか母親になったら子供にこの習慣をつけさせたいと言っているという。フェルブスフさんがこの習慣にこだわった理由のひとつは、学校であれを覚えてこい、この問題を解けと言われるプレッシャーを忘れる環境を作りたかったからです。自分が好きな本を選んで、自分の好きなスペースで読めるのは大きな違いです。私が多くの子供たちを観察したところでは、読書の習慣は集中力という筋肉と、自発的な学習の習慣を育むようだ。(『未来のイノベーターはどう育つか』トニー・ワグナー p.260)

学びのイノベーション 情熱

私が話を聞いた親たちはみな、自分の最も重要な仕事の一つは、子供が自分で情熱を傾けられることを見つけ、追いかけるのを応援することだと確信していた。特に情熱を見つけられる重要性は、ほぼ全員が口にしていた。カークの地被親のコード・フェルプスは、子供達が自分にとって本当に興味があることを見つけられるように、子供たちの前にできるだけバラエティーに富んだ「ビュッフェ」を置いた。(略)フランソワ・バローはBTグローバルサービスの元CEO。彼女はユニークな方法で子供に楽器を選ばせた。「子供たちが9歳と11歳のとき、楽器店に連れて言っていろいろな楽器を試させました。それぞれの楽器を試した時の反応を観察して、どれが子供にあっているか考えたんです。どんな子も自分をクリエーティブに表現できるツールを見つける必要があると思います」(『未来のイノベーターはどう育つか』トニー・ワグナー p.261)

習い事をさせるのが、親の都合か、子供の意思かを分別することは大切だ。仕事の都合(大人の都合)で止むに止まれずそろばんや公文に通わせる親もいる。ただそれは、子供が情熱を注げる時間かどうか。そうではないことがほとんどだ。習い事を「させる」ことが子供にどんな影響を与えるのか、ほかに選択肢はないのか。誰かに協力してもらえないのか。大人が忙しすぎて、子供たちは困窮していないか。大人たちは協力して、子供たちのために何かできないか。自分の子供だけでなく、他の子に対しても。多くの人と関わることでしか育たない社会的情動スキルがある。

IQ(知能指数)よりもCQ(好奇心指数)とPQ(情熱指数)が大切です」と、フリードマンは言う。(『未来のイノベーターはどう育つか』トニー・ワグナー p.265)

学びのイノベーション 目的意識

エレン・クマタは、フィーチュン誌100社を顧客に持つカンブリア・コンサルティングのマネジングディレクターだ。「ビジネスリーダーはよく情熱の話をしますが、実は情熱だけではダメです。人間は成長してくると、『なぜ自分はこんなことにたくさん時間を費やしているんだろう』と思うものです。何かを好きだという以上に、何か大きなものが必要になります」。ベスト・バイのブラッド・アンダーソン前CEOには28歳と30歳の子供がいる。「クリエーティブな問題解決能力が必要ない人間なんていません。そして」クリエーティブな問題か地決能力は、自分がやっていることに夢中になることから生まれます。私が子供たちに一番求めているのは、自分にとって大事なことを気にかけ、夢中になること、自分に正直な人生を送ることです。その状態に近づけば近づくほど、人間はハッピーになります。でもそれは、子供たちが自分で見つけなくてはいけない。親は子供のコーチにはなれるが、押し付けないようにしなくてはいけないし、子供が自分らしくいられる余地をたくさん残しておく必要があります」(『未来のイノベーターはどう育つか』トニー・ワグナー p.267)

親はたくさん余地を残していても、学校が余地を残してくれないことが多々ある。学校の宿題はある意味で家庭教育に対する越権行為だ。学校で夢中になれることに取り組む時間を潰されている子供がいる。親との関わりではなく、子供と学校の関わりを親が調整する必要がでてくる。学校でいろんなことを押し付けられる子供たちの目的意識、情熱、遊びのプロセスを守り育むような積極的な関わり方、子育てが必要な、大変疲れる時代になった。

自分が選んだ本を読むのが好きだけど、学校から与えられた本を読みたくないといって読まない子の担任に親が言った話。

「私はマックの担任の先生に会いに行き、マックが本を大好きで、いつかすばらしい読書家になるとわかっているけれど、いま読書を矯正したら本を嫌いになってしまうと説明しました。すると彼女は突然泣き始めて言いました。『そう言ってくれて、どんなに私が嬉しいかわかりますか。ほとんどの親は、先生がうちの子に読書を教えてくれないからでしょう、と怒鳴るのです』」(『未来のイノベーターはどう育つか』トニー・ワグナー p.269)

学校の先生も大変なのだ。
親も、社会からプレッシャーを受けている。
大変なのだ。

正しい認識をしよう。
心が大事ということ。

ロビン・チェースは、世界最大規模のGoLocoの設立者であり元CEOだ。彼女と夫のロイ・ラッセルは、大学時代に二人の子供をもうけた。二人もやはり、子供が「正しい」大学に入学できるよう生活を管理する最近の子育てを断固拒否する「反逆者」だ。「子供たちを大学に向けて準備するようなことはしなかったし、履歴書を埋めるための活動をさせたこともない」と、チェースは言う。「子供たちが学習者になることを教え、自分が学ぶにはどこへ行けばいいか知る方法を教えることの方が重要だと感じていました。それにどの大学に行くかよりも、どの大学院に行くかのほうがずっと重要です」(『未来のイノベーターはどう育つか』トニー・ワグナー p.274)

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これが最後に著者から未来のイノベーターたちへのメッセージ

君のご両親の世代の多くは消費者だった。知らないうちにこの地球の富と君の未来を食い尽くしていた消費者だ。今度は君が選択をする番だ。何よりもまず、君は物事を想像する人間でなくてはならない。そこで、君がイノベーターとして生きていくのを難しくしていること、そしてそれについて君にできることを考えてみよう。

君はときどき(もしかするとしょっちゅう)孤独だと感じている。君の考え方はみんなと違うし、世界観も違う。君の考えや言動は型破りで、周囲に理解されないことも多い。だから君が孤立感や孤独感を抱くのは避けられない。でも信じることだ。自分の情熱を追い続け、自身がついてくると、やがてその情熱や意見を共有できる人や、常識に屈しなかった君の勇気に敬意を表してくれる人があらわれる。こういう同志をみつけたら、連絡を取り合い、励まし合わなくては行けない。もっといいのは一緒にチームを組むことだ。なんでも全部自分でできるという誘惑の声に負けてはいけない。そんなことはできないのだから。

学校。これも難しい問題だ。ある賢い人がかつて言っていた。「学校を選ぶのは不満を選ぶようなものだ」と。(略)学校で重要あるいは有意義なことを学べるとこいもあるし、自分のやりたいことを実現するには学位がモノを言うこともたくさんある。ときには新しいことを学ぶのが、心からエキサイティングなこともある。だから私のアドバイスは、まず自分の教える科目に本当に情熱を持っている先生を探すことだ。その科目が何であれ、何かに対して情熱を持っている人の近くにいると、ハッとさせられることがあるものだ。それにこういう人たちは、単に深い知識を持っている人よりもずっと多くのことを教えてくれる可能性が高い。自分が関心のある科目に時間をかけ(そしていい成績を取り)、それ以外のことはあまり心配しないこと。自分の関心がある授業から得られることはなんで燃えて、課題は全部やって完全に自分のものにしよう。(略)

もうひとつ大変なのは、君は間違いなく失敗することだーーそれも何度も失敗する可能性が高い。失敗しないとすれば、それは無難にやったいからに過ぎない。失敗は恐ろしく身にこたえる。人前で失敗した時は尚更だ。だが最も価値ある教訓のいくつかは失敗から得られるものだ。成功した場合よりもずっと多くを学べるはずだ。(略)

何よりもむずかしいこと、そして何よりも重要なことの一つは、自分と自分のビジョンを信じることだ。特に失敗したときは自分を信じるのがむずかしい。しかし自分がやろうとしていることは正しいという内なる確信がなければ、根気を維持することはできない。なかには君の自信を傲慢だと勘違いする人がいるかもしれない。そして君は間違っているとしょっちゅう言うかもしれない。そういう批判には耳を貸さないことだ。だが、謙虚であろうと努力すること。(略)いろんな人の意見やアイデアに耳を貸す練習をしよう。カール・マルクスはかつてこう書いている。「凍った環境を動かすには、相手の旋律で歌わなくては行けない」。君も周囲の旋律に耳をすませよう。人類学者になって、君が起こそうとしている変化を後押しするか妨害する経済、社会、文化の影響を理解しよう。歴史の本と優れた小説を読んで、文化と登場人物を理解しよう。たくさんの質問をして、慎重に観察しよう。他人のアドバイスに耳を傾け、いくらかわり引いて受け止めよう。情熱的であろう。だが独善的になってはいけない。自分のアイデアを信じると同時にうたがおう。好奇心を持ち続けること。いろんな経歴、アイデア、信念を持つ人を理解しようとするのはすばらしいことだし、たいてい楽しいものだ。

楽しいといえば、いくらか楽しみを持とう。休息をとること。散歩か何かを自然の中ですること。定期的に体を動かし、音楽を聴き、絵画や写真を勉強しよう。ボランティアをしよう。こうしたことはどれも君が冷静でバランスが取れた人間でいるのを助け、創造的なエネルギーと物理的なエネルギー、それにスタミナを与えてくれる。(『未来のイノベーターはどう育つか』トニー・ワグナー p.303)

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