文学部の模範解答例

明治学院大学国際学科小論文模範解答例【問の意図がわからない件】

明治学院大学国際学科小論文模範解答例【問の意図がわからない件】

明治学院大学 一時間 字数制限がない。

 

意義と意味の違い

意味は言語や行為によって示される内容、または物事が持つ価値を表します。

「意義」はある言葉が表す内容、また物事が他の物との関係において持つ固有の重要な価値を表します。

問いへの疑問
「意義はあるか」という言葉。
「意味はどのようなものか」「意義はあるか」の関係。

 

意味の違い

法王がアラビア半島でミサを行った。
アラビア半島ではキリスト教徒は少数派で、宗教活動が制限を受けている。
「神は見捨てない」

デ・ルカさんが日本で講演した。
法王は宗教間対話を重視するだろう。
キリスト教の「寛容さ」をアピール

「他の宗教と対話する心の広さがある」のはキリスト教か、日本かわからない。

 

アラビア半島と日本の共通点
キリスト教は少数派(資料4)

相違点
日本では人々に宗教的寛容さがある(宗教対立の問題がない)。アラビア半島では、人々の宗教的寛容さがない。

模範解答例

 

<2つの国の訪問の意味の違い>
アラビア半島と日本ではキリスト教が少数派(資料1および資料4)であることが共通している。だが、ローマ法王がこの2つの国を訪問した理由は異なっている。ローマ法王が日本を訪問した意味は、宗教への関心が薄い日本でキリスト教を受け入れてもらうことである。一方で、ローマ法王がアラビア半島を訪問した意味は、布教をするというよりも、宗教活動が制限されているアラビア半島のキリスト教徒への励ましであった。

ローマ法王がこの2つの国を訪問した意味の違いは2つの国の宗教意識の強さの違いから生じている。アラビア半島では宗教意識が強く、大多数を占めるイスラム教との宗教の対立が激しい。一方で日本では宗教意識がアラビア半島と比べて低く、宗教の対立もない。資料4からは「親しみを感じる宗教がない」と答えた29%の人は宗教に全く関心がないと読み取ることができる。

<宗教間対話の意義>
私は宗教間対話とは、異なる宗教が対立することで生じる問題を解決するための対話であると考える。この視点から考えれば、ローマ法王の訪問は宗教間対話を目的とはしていない。換言すれば、ローマ法王の訪問には宗教間対話の意義がない。

資料4から読み取ると、日本で「宗教を信仰している」人は全体で33.8%(どの宗教を信仰しているかは資料から読み取ることはできない)であり、宗教意識が低く、宗教の対立がないため、私の定義を用いれば、宗教間対話をする相手がいない。アラビア半島では、宗教間の対立が強いため、宗教間対話をする必要があるが、キリスト教が弾圧され、排除されてしまう状況であるため、対話をする相手はいるけれど、対話できる対等な立場にない。実際、ローマ法王は「神は見捨てない」という言葉でキリスト教徒を励ましはしたが、イスラム教徒と「対話」する姿勢をみせていない。

<メッセージ>
国際関係における宗教の問題に取り組む意義はある。宗教は人々の暮らしに秩序を与え、豊かにするためのものであったのが、いつしか対立を生んでしまった。グローバリゼーションにより人々が宗教を超えて関わりあうことができる時代に、人々は宗教によって豊かに暮らせているだろうか。この問題は宗教という枠組みだけではなく、文化や言語の視点からも捉えることができる。個人や社会といった様々なレベルで歴史的に作られてきた価値観の違いを超えて人々が平和に暮らすために、私には何ができるだろうか。平和を実現するために、大学という場所で価値観の異なる人と出会い、対話をすることで多くのことを学びたいと思う。

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