立教大学社会学部の小論文の解答例【出題者の意図を読み取れなかった件】
立教大学・社会学部・社会学科,現代文化学科,メディア社会学科(国際コース選抜入試)
【設問】
世界規模で人々の移動が増えるなかで、言語、慣習や伝統行事などの文化、生活習慣、宗教などを異にする住 民の割合が日本でも増えており、この傾向は今後も続くと予想される。しかし、日本が民族や国籍の異なる人々 にとっても暮らしやすい社会になるためには、さまざまな面での変化が求められている。「日本人」以外の民族や 外国から来た人々が現実に直面している問題について、具体的な事例を取り上げて説明をしたうえで、その問題 を解決するために、あなたが必要と考える対応策を述べなさい(1000字程度)。
おとのねさんの解答プロセス
メモ
「踏まえる」
まずどんな人がいるか?ー住民
外国人労働者(工場で働く人)
永住権をもった人(既婚者)
留学生(未婚者)
現実に直面している問題
日本は外国から来た人が「暮らしにくい」社会。
言語、慣習・伝統行事などの文化、生活習慣、宗教
日本人は英語しか喋れない。母語が通じない。
小さな内輪のコミュニティーで生きていくことになる。
日本人の「ウチ」と「ソト」の差別の対象になる。
食事のマナー
イスラム教の人は定時に祈りを捧げる戒律がある。
対応策
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「踏み込む」
自分への問い:「同化」することではない。
共生社会という社会のあり方は生態学的視点に基づいて、すべてのものが関係しあうことを原理としている。
自分の設定
役所・NPO
出題者への問い:
対応策だけでいいんですか?→「踏み込む」
対応策を述べ、あなたの考えを論じなさい。ではない。対応策だけでいい?
「暮らしやすい社会」って何ですか?
日本人と同等の「暮らしやすさ」になることらしい。
「変化が求められている」の主語がない。誰だ!
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(削除)
以下、「日本人」に対して「それ以外の人々」を「外国人」と表記するが、便宜的な区別である。
『踏まえる』
現在、日本には外国人労働者、結婚するなどして永住権をもった人が「外国人」として暮らしている。だが、「日本人」と「外国人」の間にはさまざまな問題があり「暮らしやすい社会」を実現する妨げとなっている。これを解決するための対応策が必要である。
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解答例
《表明》「伝えたいこと」
「外国人」が現実に直面している問題は、「日本人」とコミュニケーションができないことである。「日本人」が日本語以外に話せない、また「外国人」が日本語を話せないので役所への手続きや暮らしにかかわる情報が得られず生活上の不便さを感じている。また結婚をして子供を育てながら、コミュニケーションができないために助けを求められない「外国人」がいる。これでは「暮らしやすい社会」とはいえない。
言葉が通じないことが問題であれば、グーグル翻訳機を使うことで即座に解消される。だが、この問題の根本的な原因は、言葉を使うコミュニケーションの場が生じる言語環境・社会環境が準備されていないことで生まれる疎外意識にある。「日本人」の言語環境が歴史的文化的に固定されており、「日本人」は「フィリピン人」「中国人」「外人」といった言葉で「外国人」と「日本人」を区別し、コミュニケーションの場から「外国人」を無意識に疎外している。と同時に、社会環境が「外国人」に表現する場を生み出していないために、疎外感を感じコミュニケーションの場をつくらない。そして「日本人」の疎外意識を助長してしまうという悪循環に陥っている。
《本文》「伝える」
「日本人」と「外国人」が疎外意識を乗り越えコミュニケーションできる場をつくりだすために、「日本人」と「外国人」が言語環境と社会環境を作り上げる2つのアプローチがある。
一つは「日本人」が自文化を意識的に変えていくことだ。例えば、歴史的・文化的に固定化された言葉の一つに「郷に入れば郷に従え」ということわざがある。これに対して「郷」に新しい価値観を生み出す別のことわざをつくり、2つの言葉を共生させる。「暮らしやすい社会」をつくりあげることを励ます言葉を生み出しトップダウン方式で普及させることで「日本人」の意識を変えられる。「アジア人」を流行語大賞にすることで「外国人」の中に「日本人」を含めることにより、「日本人」の自文化を意識し、変化させることもできるだろう。
もう一つには「外国人」が自文化の魅力を積極的に表現していくことだ。成功事例として「韓国人」と「日本人」が挙げられる。多くの「日本人」が「韓国人」の発信した韓国ドラマをみて感動し韓国へ行ったり、逆に韓国のアイドルが日本に来てコンサートを行うようになった。この社会環境のなかに餃子やタピオカ、キムチといった食文化を入れることができるが、それをきっかけに「日本人」と「外国人」が「人」と「人」として共感し、コミュニケーションをする場が生まれることが重要である。
《メッセージ》
コミュニケーションという点において言えば、現在の日本の言語環境や社会環境は、「外国人」にとって「暮らしやすい社会」を生み出すものとは言い難い。疎外意識を乗り越えて、「日本人」と「外国人」が、「人」と「人」としてコミュニケーションすることを励ます環境をつくることが、「暮らしやすい社会」を生み出すために必要である。
(1114文字)
メモ
・コミュニケーションの摩擦
すべての「外国人」
外国人側
日本語が喋れないと小さな内輪のコミュニティーで生きていくことになる。
日本人の「ウチ」と「ソト」の差別の対象になる。
→ 日本語を習いましょう。
日本人側ーウチとソトの垣根をなくす。
「外国人」という言葉をつかう「フィリピン人」「中国人」
→「アジア人」を流行語大賞にする。
日本でもアジアの一因として、アジアの文化に触れる機会や言葉を習う機会を増やすこと。
鬼畜米兵であったのが「ギブミーチョコ」となり、今では英語教育に力を入れている。
文化を取り入れる例は他に韓国ドラマなど。
→ アジア語を習いましょう。
→ アジアの文化を楽しみましょう。
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(削除)
設問の問いには「日本が民族や国籍の異なる人々にとっても暮らしやすい社会になるためには」とあり、日本で「暮らしにくさ」を感じている「日本人」にとっても暮らしやすい社会を実現すること「も」目標にしていると解釈する。また、「変化が求められている」の主語が書かれていないため、「変化が求められている」のは、「日本人」と「日本人」以外の民族や外国から来た人々の両方であると解釈し論を進める。論を進める上で「日本人」と「外国人」を暫定的に区別するが、利便のためであり、明確に区別するものではない。
ー「日本人」以外の民族や外国から来た人々が現実に直面している問題を述べる。
ー誰にとっても暮らしやすい社会を実現するための対応策をのべる。
「本文」
コミュニケーションの摩擦は全ての「外国人」と「日本人」が直面しうる問題だ。「日本人」の多くは日本語しか話せないため「外国人」は「日本人」のコミュニティーに関わることが難しく孤独感を感じている。そのために「外国人」同士の小さなコミュニティーに所属することで安心をするが、それが「外国人」は奇妙であり得体が知れないという考えを抱かせる。
ここには二つの問題がある。一つは言語の問題であり、もう一つは「日本人」の「ウチ」と「ソト」の差別意識である。「外国人」が日本語を習うと同時に「日本人」が「外国人」の母国語や世界共通語である英語を習うことで言語の摩擦は少なくなる。生涯教育や学校教育で英語だけでなく、多言語を学ぶ機会を増やすことでこの問題は解決する。
多くの「日本人」は「日本人」が一つの民族ではないことに気が付いていない。だが、県民性という言葉は県民がそれぞれ違う文化、言語、生活習慣をもっていることを表している。「日本人」が「日本人」の文化の多様性に気がつき認めることで、「日本人」が「外国人」への差別意識を軽減することができると考えられる。
ーーーーー
・経済の摩擦
工場で働く技能研修生
日本人側
労働環境が問題?
非人間的ー法律のずさんさと日本人の道徳観
法的に守られていないから、「国籍がないから」貶められる。
→ 法の整備?
→ 日本人にとっても労働環境は問題となっている。
ポイント
「踏まえる」部分と、「踏み込む」部分をつくる。(「論」を限定する)
課題文がない場合、特に知識が問われることがあるらしい。
書き方、「誰を軸にするか」論理的思考
時間制限があるので、とにかく本文まで書いて、《メッセージ》で書き直す。
問いの解釈:
問いの「読み取り」
どこに力点があるか→具体的な事例を取り上げて説明できるか。(知識を問う)
問いを「踏まえる」問い直す
テーマを正しく抽象的に捉えて、設問を踏まえ直す。「外国人」と「日本人」の摩擦
「取り組み」の大目標を明確にする。
設問に引っ張られすぎない。
自分の言葉を使って良いか。
「多文化共生社会」という言葉を使っていいの???共通認識できているの???
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問題を取り上げる=「踏まえるもの」が抽象的で曖昧な場合、なにを「問題」にするのかを決めていい。
結局、小学生でも考えられる結論になる。
それを「小論文」という型にいれる(論理的思考を表現する)のが小論文???
自分がはっきり捉えられないものは、書かない。
言葉を習う、は「つまらない」から削った。
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小論文に向かない人
人の内面がきになる、言葉を深く捉える、きちんと誠実に返事をしようとする。極めて論理的に考える。完璧主義者。
小論文に向く人
自分の流儀で颯爽と人と関われる。理解不能なことがあっても、とりあえず、事を終わらせられる。切り替えができる。悩まない。とりあえず答えを出す。
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