看護学部の模範解答例

山梨県立大学看護学部の小論文の模範解答例【筆者の論理的思考を主体的に具象化する】

山梨県立大学2018(後期日程)看護学部の小論文を解く

山梨県立大学看護学部

課題文

直感を磨くには、多様な価値観をもつことだと思う。

直感は、だまっていても経験によって自然に醸成されていくものである。その醸成は 日々の生活の中でも知らず知らずのうちに行われているはずだ。そうした経験も大切だ が、そこから何を吸収するかはより重要だ。それによって価値観も変わるからだ。

だからこそ、時には立ち止まって軌道修正が必要かどうかを確認しなければならな い。直感のように感覚的なものはとても微細なものなので、少しのズレが大きな結果の 違いを生むことも珍しくはない。
そして、目の前の現象に惑わされないこと。
近視眼的な成果にばかり目を奪われ、あるいはデータに頼って情報収集に終始するこ とでは、おそらく足りない。それらに対する意識は不要とまではいわないし、またそれ らはたいてい気づかぬうちに判断材料に入ってしまいがちなものである。しかし、であ るからこそ意図的にそれらをセーブしなければならない。
そして自分の思うところ―自分自身の考えによる判断、決断といったものを試すこ とを繰り返しながら、経験を重ねていく。そうすることで、自分の志向性や好みが明確 になってくる。
「好み」というと単なる好き嫌いに聞こえるかもしれないが、それはとりもなおさず自 分自身の価値観をもつことではないだろうか。

出典:羽生善治:『直感力』, PHP 新書 827, 株式会社 PHP 研究所, 2012.

問い

設問1「直感を磨くには、多様な価値観をもつことだと思う。」と著者が考える理由を200
字以内で述べなさい。

設問2下線部の主旨について、自分の体験をもとに、あなたの考えを600字以内で述べな
さい。

 

おとのねさんの回答

方針・変更点

・「私の体験」には

近視眼的な成果=やっつけ仕事
無批判に情報収拾をする=情報を精査しない

の2点を入れる。

 

・抽象的な著者の論点を、医療に具体化する。(主体性を使った箇所)

本論で書こうとしたけどメッセージとして最後に書きました。

 

・構成を表明せず(序論をはぶき)、本文のトピックセンテンスに入れた。

 

・筆者を「踏まえて」いることを強調するために、筆者の言葉を散りばめる。難しい言葉は、やさしく言い換える。

 

設問の意図

設問1:多様な価値観をもつことの重要性を述べている筆者の文章を理解しているか。

設問2:私が「多様な価値観の重要性」を経験しているか→ それを「踏まえて」看護という現場に生かせるか。

 

回答

表明

なし

本文

私は無批判に情報を鵜呑みにした経験がある。小学生の時、私は親の価値観で生きていた。自分が正しいと思うことと他者が正しいとおもうことの折り合いがつけられなかった。中学生になってから、私は自然とそれが「間違いだ」と思えるようになった。自然と醸成されたものであると言う点で、親の価値観は直感に属するものであった。それを中学生になってから自分で人間関係を試行錯誤しながら意識的に作り上げていくようになった。自分の感覚は大切だが、その感覚を磨くということが大切であることを身を以て経験した。

私は目の前の成果に目を奪われ、本質的な問題を見過ごしてしまった経験がある。高校生のとき、私には大事な友達がいた。感覚的にとても親しくなれる友達であった。しかし直感に頼っていたため、あるいは私が多様な価値観を持たなかったために、その友達の気持ちに気が付けず、関係を壊してしまった。

メッセージ

私には以上のような失敗経験があり、自分の直感や、今の自分の価値観が頼りないものであることを私は腹の底から感じている。同じように、看護という仕事でも多様な価値観が大切であることを五臓六腑で感じている。医療現場で出会う人たちは様々なことを考え、お互いに違う価値観をもっているからだ。無批判にひとつの価値観を受け入れたり、忙しさにとらわれることなく、試行錯誤をし、時には立ち止まって軌道修正をしながら、医療ミスやターミナルケアといった課題や問題に関わっていきたい。

 

おとのねさんの感想

自己反省を小論文で求められていた。

課題文は「試行錯誤しながら価値観を多様化する」という自己反省の視点を与えてくれた。

まさに、ああ、小論文。よい問題でした。

 

自分の体験を書きながら、著者の論点、言葉を取り込みつつ書くことの大切さを感じた。

時間内にかけるかな?パソコン使ってギリギリだった。

コメント

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