友達のつくりかた:一緒にあそぶ人とつながろう。相手も自分もおもいやる生き方

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残酷すぎる成功法則

大人こそ思い出せ! 友だちづくりの三大基本原則

ロバート・フルガムによる一九八〇年の大ベストセラーの題名は『人生に必要な知恵はすべて幼稚園の砂場で学んだ』(河出書房新社)だった。さあ、ここで幼稚園のころに戻ったつもりで、友情の基本原則をお さらいしてみよう。どれも直感的なものだが、同時に科学的な裏づけも ある。

「ネットワーキング」という言葉を使うのはやめだ。

相手がメンターでも仕事仲間でも、私たちの脳は「交際」を上手に処 理することができない。何となく空々しい関係になるのはそんなとき だ。その反面、脳は「私たち」対「彼ら」、「友」対「敵」の関係を扱 うのはとても上手だ。だから幼稚園時代に戻って、友だちをつくらなくちゃ。 

1「やあ、君はアイアンマンが好きなの? ぼくも好きなんだよ」

あなたが遊びたいと思っているおもちゃで遊んでいる男の子がいる。 その子のところに行って、自己紹介をしよう。誰でも自分と似ている子を友だちに選ぶものだ。

正直なところ、この原則は、空恐ろしくなるほど大人の社会で通用す る。調査結果によれば、人は、自分と似た名前の人に好感を持つとい う。自分のイニシャルと同じ字が入っているから、という理由でブラン ドを好きになったりする。知り合いの誕生日は、自分の誕生日と近いほ ど記憶に残りやすい。自分と動作が似ている人のことも好きだ。ニュー ス・キャスターや俳優はなぜ見てくれが大事なのか? 人びとは、魅力

的な人のほうが自分と似ていると思い込むからだ(なかなかのナルシストではないか?)。

嫌いな物が同じという場合も絆が深まる。調査によると、不平や不満 を共有することは、親近感を深める。同じ人を嫌いなら? もしかした ら永遠の親友になるかもしれない。古くから「敵の敵は友人」というこ とわざがあるだけでなく、それは論文(『あなたと同じように感じる:他者への否定的な姿勢の共有は親近感を高める』)でも証明されている。

というわけで、園庭を見て、自分と似た子を探してみよう。あの子 は、あなたのことを好きになりそうで、あなたも好きになれそうだ。一 見して似ている子は見つからない? それなら、次のステップを実行し よう。

2 ほかの子の話をよく聴いて、励ます

幼稚園のほかの子たちと自分のどこが似ているか見つけたいなら、そ の子たちに質問をして、彼らの話に耳を傾けよう。そうすればきっと、 彼らと共通のものを見つけられるだろう。そのうえ、じっくり話を聴く ことは、人との絆を結ぶうえで大切なことだ。また、それは私たちの多 くが苦手とするところでもある。

神経科学者のダイアナ・タミルによると、人間の脳は、自分のことを 話すことで、食べ物やお金よりも強く快楽中枢を刺激されるという。だ から、人前で自分のことばかり話すのはほどほどにし、その楽しみをほ かの人に最大限譲ってあげよう。

ニューヨーク州立大学の心理学教授のアーサー・アーロンの研究では、誰かにその人自身のことを尋ねると、一生の友情にも匹敵する絆 を、驚くほど短時間で結べることが証明された。

さらにFBIの行動分析官ロビン・ドリークは、初対面の相手と話す ときに最も重要なこととして次を挙げる。「自分の判断は差し挟まずに、相手の考えや意見を知ろうとすること」

すなわち、自分が次に言うことを考えようとせず、彼らが今話してい る内容にひたすら集中することが大事なのだ(意識しないとけっこう難 しい)。

相手と自分に共通する何かが見つかった? それはよかった。遠慮せ ずに、惜しみなく相手を称賛しよう。人がセックスやお金以上に褒め言 葉を好むことは、調査でも示されている。影響力の分析で知られるロ バート・チャルディーニによれば、心の底から褒めることが肝心だ。こ ちらも媚びたくはないし、また褒められる側も、へつらわれるのは気分が悪い。だから、本当に心に浮かんだ好意的な言葉を言おう。

取ってつけたようなお世辞ですら、信じられないほど効果をもたらす という研究結果もある。しかし保険の勧誘ではないので、ここでは真実味があることが重要だ。

また、格好をつけたり、いいところを見せようとするのもやめよう。 逆効果になるからだ。人は誰でも有能さより優しさのほうが好きだ。実 際に調査でも、人びとは、「有能だが不愉快な人」より、「気が利かな いが優しい人」と働きたいと思っていることが明らかになった。それから、相手に助言したり、批判がましいことを言ったりするのはやめよ う。ただし、こちらからアドバイスを求めるのは、相手の好感を得るきっかけになる。

ドリークは、相手が今どんな課題に直面しているのかを尋ねるようにしている。人は誰でも、ストレスを感じていることに関して愚痴を言いたいものだ。そして、それをじっくり聞くことが、三番目のステップに つながる──。

3 ギバーになって、おやつのトゥインキーを分けあう

人に助けを申し出よう。パンダやポール・エルデシュのように、惜し みなく与えるギバーになろう。人が何か困っていると聞いたら、助けてあげられることを探そう。

あなたは取引を目的とする似非ネットワーカーにはなりたくないと思っている。できれば偶然に出会い、自然と育まれる友情が好ましいと思っているだろう。

友だちは、たがいに尽くしあう。彼らは、目的や見返りのためにそうしているわけではない。だから、良い行いにせよ、悪い行いにせよ、いずれは自分に返ってくるという因果応報の法則にまかせよう。

つながっている誰かを幸せにしようとすると、自分にも幸せが戻って くる。幸せな友人は、あなたの幸福度を一五%増やしてくれる可能性が ある。たとえ友人の友人の友人が幸福になったとしても、あなたがより幸せになる可能性が六%ある。したがって、見返りのことは忘れ、何も 求めないことだ。そうすれば、助けられた人はあなたに好感を持ち、あ なたも自分自身に満足できる。あなたはただ、友だちとして助けるの だ。それと、もし助けを申し出るのなら、最後までとことん助けること。(『残酷すぎる成功法則』エリック・パーカー)

誰と友達になるか、どのグループに入るかが「あなた」をつくる

自分が入るグループは賢明に選ぶべきだ。一〇〇〇人の 被験者をその幼少期から死亡まで追跡調査した「ターマン調査」は、あ なたが誰とつき合うべきかについてこう述べている。「あなたがどんな 人間になるかは、関わるグループによって決まることが多い。たとえば 健康状態を良くしたいなら、健康な人びととつき合うことが、最も効果 的で、体調改善への早道である」。

また調査によると、人は、一つだけでなく、いくつもの社会集団に帰属するほうが、困難から立ち直る回復力が高まり、ストレスを乗り越え やすくなるという。

入りたいと思う魅力的なグループが思い当たらない場合には、簡単な解決法がある。あなたがグループを立ちあげ、ネットワークの拠点になることだ。あなたの友人で、定期的に友だちと過ごせる時間と気持ちの良いネットワークを求めている人たちから、きっと感謝されるに違いない。 (『残酷すぎる成功法則』エリック・パーカー)

冗談を言える関係か?

私たちは多くの人びとと出会うが、その後に時間を取ってフォロー アップし、友人関係になることは稀だ。ノートルダム大学の研究者は、 ほぼ二週間ごとに連絡を取りあうことが、親密な友情を持続させる方法 であることを発見した。とくに親しい間柄でなければ、そこまで頻繁に 連絡を取る必要はないが、それでも基本原則は変わらない。すなわち、 折にふれ近況報告をすれば良い。

そのために必ずしも長い時間をかける必要はない。週に何通かメールを送るだけでも、長いあいだには大きな違いを生む。パンダのネット ワークは膨大だが、彼は驚くほどわずかな時間でそれを維持している。 彼は、毎週友人たちにメールで送る前ふりの話をいつも用意している。 このちょっとした気遣いで、彼は人びとを助けると同時に、ごく自然に 関係を維持している(この行為はまた健康維持にも役立つ。長期にわた る調査で、 最も長寿な人びとは、最も周りから助けられる人ではなく、最も周りを助ける人であることが明らかになった)。

それでは仕事仲間と友情を築くのはどうだろう? それもまた素晴らしい。ただし、「チームワークを高めるエクササイズ」の類はどうもいただけない。かえって信頼関係を損なうとの調査結果もある。

調査によると、仕事のチームがすぐれた業績をあげられるかどうか は、メンバーがたがいをどう思っているかにかかっている。マニュアル には載っていないものの、チームのコミュニケーションと有効性を改善するものは何か? それは、仲間と冗談を飛ばしあうことだという。 職場で誰が最も業績をあげているかを知るには、ランチのテーブルを見ればいい。MITメディアラボの研究員、ベン・ウェイバーによる と、「昼食時に大勢とテーブルを囲んでいる者が、実質的に高い業績をあげている社員だとわかった」という。彼らは大きなネットワークに属し、仕事仲間がどんなことに従事しているのかをよく把握している。 また、職場でいろいろなグループの友人を持っていることも、大きな 収穫に結びつく。職場で比較的分断されている人びとの橋渡しができるような者は昇進が早く、また同僚に先がけていろいろな情報を耳にするので仕事での機動力に優れている。(『残酷すぎる成功法則』エリック・パーカー)

自分が好きなことをやり続ける、貫く。そうして人と出会う。

私たちは皆、面白い人になりたいと思っている。ジャド・アパトウは 少年だった一九八〇年代、毒ヅタを自分の鼻にくっつけて友だちを笑わ せていた。お察しの通り、このネタは代償が大きかった。父親はいつも ジャドにコメディのレコードを聞かせていて、それが幼い彼に刺激を与 えた。やがて成長するにつれて、コメディアンになりたいという思いを 強くしていった。

ジャドは『サタデー・ナイト・ライブ』を毎週欠かさず観て、カセッ トレコーダーで録音した台詞を手で書きとめ、ジョークを練習した。 トークショーに出演するコメディアンを知るために、雑誌の『テレビガイド』を探しまわった。人気喜劇グループの「マルクス兄弟」を題材に 三〇ページの論文を仕上げたこともあった。学校の宿題ではなく、自分 が書きたくて書いたのだ。 

ジャドのような寂しい子には、こうした情熱の対象が必要だった。い じめられているときに。そして両親が険悪な状態で離婚するときに。で も、誰にも理解してもらえない情熱を持ち続けることもまた孤独だった。

というわけで、まだ実家で暮らし、ほとんどの時間を幾何の宿題に費 やしているとき、どうやってコメディを学べばいいだろう? ジャドの 友だちは、高校のラジオ局でロックバンドにインタビューしていた。

そこで彼は思いついた。プロのコメディアンを相手に同じことをやってみたら? 

このとき、ジャドはあまりわかっていなかったのだが、当時、コメ ディアンはそれほどスター的な存在ではなかった。彼らにインタビューしようなどと、考える者はいなかった。そんなわけで、広報担当者に電 話をかけたとき、鼻であしらわれ、切られてしまうのではとの予想に反 し、意外にも相手は快諾してくれた(校内FMラジオの取材で、インタ ビュアーはまだ一五歳だという事実にふれなかったのも幸いしたのだろ う)。申し込んだほぼすべてのコメディアンがOKしてくれたのだ。

たしかに、にきび面のジャドがシオセット高校視聴覚係のカセットレ コーダーを片手に現れたとき、たいがいのコメディアンは拍子抜けし た。だがこれが、コメディにとり憑かれた孤独な若者が、コメディ界屈 指の大物たち──ジェイ・レノ(『ザ・トゥナイトショー』のホスト)か らギャリー・シャンドリング(『ラリー・サンダース・ショー』のホス ト)、『ザ・シンプソンズ』のクリエイターであるジェームズ・ブルッ クスにいたる──の取材にこぎつけた顛末だった。さらにジャドは、ロサ ンゼルス在住の祖母を訪ねつつ、ジェリー・サインフェルドにもインタ ビューし、また、はるばるポキプシー(ニューヨーク州南東部)までパ ロディ音楽の第一人者で「おかしなアル」こと、アル・ヤンコビックに も会いに行った。

ジャドは大物たちからジョークの書き方を学んだ。観客の前で芸を披 露するチャンスの探し方も学んだ。個人的な経験を演技にどう生かす か、客層に合わせてネタをどう変えるかも学んだ。だが何よりも、彼は 自分が独りぼっちでないことを知った。世の中には自分とそっくりな人間がたくさんいるとわかったのだ。

こうして彼は、コメディの脚本を書きだした。満足な出来ばえのもの を書きためると、それをジェイ・レノに売りに行った。レノは買っては くれなかったが、かわりに感想を言って励ましてくれた。かつて人気コ メディアンのジョージ・カーリンがレノ自身にしてくれたように。(『残酷すぎる成功法則』エリック・パーカー)

自分を思いやれなかったら、相手も思いやれない?セルフ・コンパッション

セリフコンパッションは、人間の健全さの指標

自信に代わる概念があるだろうか? 教育心理学者でテキサス 大学准教授のクリスティン・ネフは、それは「自分への思いやり(セル フ・コンパッション)」だという。自分自身への思いやりを持てば、失敗したときに、成功の妄想を追う必要もなければ、改善の見込みがないと落ち込む必要もない。ばかげた期待を膨らませたり、目標に届かないと自分を責めたりしてヨーヨーのように上がり下がりすることもない。 私はなんて素晴らしいんだ、と自分に嘘をつく必要もない。そのかわり、うまくいかないときには、自分を許すことに心を注げばいいのだ。 セルフ・コンパッションには、自尊心のプラス面がすべて含まれるが、マイナス面は含まれない。良い気分で仕事の成果を上げられ、高慢 ちきになることもなければ、自己の改善を怠ることもない。自信と異なり、自分への思いやりは妄想につながることもない。

実際、『セルフ・コンパッションと自己に関連する不快な出来事に対 する反応─自己を思いやることの意義』と題する研究では、自分への思いやりのレベルが高い人は、現状認識も正確であることが明らかになった。彼らは自分自身や世界を正確に把握していたが、だからといって失 敗したときに、自己を責めることもない。一方、自尊心に重きを置く人 びとは、ときどき自分を欺いたり、否定的だが有益なフィードバックを退けたりする。現実を受けいれるより、自己の価値を証明することに執着するのだ。これは傲慢さやナルシシズムにつながりかねない。統計的に調べると、自尊心とナルシシズムのあいだには確かな相関関係があっ たのに対し、セルフ・コンパッションとナルシシズムの相関関係はほぼゼロだった。

自尊心を煽るのではなく、自然体で自己や自分の能力に満足していら れたらどんなことが起こるだろう? ズバリ、人から好かれる。過剰な自信が共感性を失わせるのと対照的に、自分への思いやりを育むと、他者への思いやりも増すことが神経科学の研究によって証明されている。

fMRIの画像で、自分を許している人びとの脳を調べると、他者を思いやるときに活性化するのと同じ領域が活性化していることがわかる。また、夫婦が良いパートナーかどうかの判断材料としても、自尊心 よりセルフ・コンパッションのほうが優れていると評価された。 この章の前半で述べたように、自信の効果の一つは、あなたを幸せにすることだ。ところがセルフ・コンパッションも同じ効果をはたす。し かも、自信がもたらすような弊害はいっさいない。調査によると、自分への思いやりは、幸福感、楽天主義、個人の主体性、他者とのつながりによる充足感と強く結びついている。さらに、不安感や抑うつ感、神経症的な完璧主義、反芻思考などの緩和とも大いに関連している。 (『残酷すぎる成功法則』エリック・パーカー)

セルフコンパッションは、賢さの指標

『ストレスに直面したときの自分への親切』と題した研究によると、自分に思いやりを持つことは、じつは賢さと関連し合っているという。知能指数でも、知識でもなく、賢明さである(毎日行っていることのなか で、あなたを賢くしていると本当に言えるものが、はたしていくつあるだろう)。

自分のことを、「良い」か「悪い」、「成功している」か「成功して いない」と厳しく判断することは、シロかクロかの偏狭な見方だ。賢明 さを身につけるには、もう少し柔軟性と、受容と、それから成長ととも にもたらされる学びを必要とする。

あなたが知っている最も賢い人びとを思い浮かべてみよう。彼らは怒 鳴り散らしたり、傲慢な態度を取ったりしただろうか? もしくは、 まったく自信のない態度だっただろうか? おそらくその人たちは、平 静で、思いやりがあり、寛容で、批判がましくなかっただろう。私たち もいつか、そのレベルの賢明さを身につけたいものだ。セルフ・コン パッションは、そのための大いなる第一歩となる。

助けて!といえる人がいる時、人は自立できる。助けを呼べる人をつくろう。

この記事のまとめ

「命」は誰かと共にあって、輝きます。

インフォーマルネットワークとは、組織の中で「決められた」人間関係ではなく、自分で「作り上げた」人間関係のことです。

詳しくインタビューしてみると、花形研究員は仕事上の人間関係がふつうの研究員と は決定的にちがうことが明らかになった。花形研究員は、仕事上重要な人々とのあいだに親密な ネットワークを維持している。大ピンチに遭遇したとき即席の問題解決チームや危機管理チーム の一員になってもらわなくてはならない人々と良好な人間関係を保つよう心がけているおかげで、花形研究員は仕事をスムーズに運ぶことができるのだ。ケリーとカプランの説明を聞いて よう。「ベル研究所で中程度の業績しか上げられない研究員に技術的な問題で立ち往生したときの経験を話してもらいました。彼はその問題の権威とされる人々にあちこち電話をしたのです が、待てど暮らせど返事がなく、電子メールのメッセージにも返事が来ないまま貴重な時間が過 ぎていったと言っていました。しかし、花形研究者がこんな目にあうことはまずありません。助力を頼まなければならなくなる前に、そういう人たちとのあいだに信頼できるネットワークを作 る努力をしているからです。だから実際にアドバイスを頼むと、他の誰よりも先に返事がもらえ るわけです」。

インフォーマル・ネットワークの真価は、予期せぬ問題が持ちあがったときに発揮される。職 場におけるネットワークを研究している学者が、次のようにまとめている。「フォーマルな組織 は、容易に予想できる問題に対処する目的で作られています。予想していなかった問題が起きたときがインフォーマルな組織の出番です。同僚同士がコミュニケーションするたびに人間関係が クモの巣のように複雑に発展し、時間の経過とともに驚くほど安定したネットワークになってい くのです。インフォーマル・ネットワークは適応性に富み、組織をとびこえて縦横無尽に動いて 目的を達成します」。

インフォーマル・ネットワークを分析してみると、人々は毎日同じ職場で働いているからとい って必ずしも微妙な問題(「転職したいと思っている」、「あの上司とあの同僚のやり方が気に入 らない」、等々)について気を許して話し合っているわけではないし、危機に直面したとき頼り にしあうとも限らないことがわかる。実際、もう少し細かく見ていくと、ひと口にインフォー ル・ネットワークと言っても、少なくとも三つのタイプが存在することがわかる。

ひとつはコュニケーションのネットワーク。誰が誰と話すか、ということだ。

もうひとつは専門技術のネットワーク。アドバイスが必要なとき誰が頼りにされるか、ということだ。

第三は、人望のネット ワークだ。たとえば専門技術のネットワークで主要な交点に選ばれる人物は、皆から技術的に優 秀と評価されていることになる。こういう人は昇進が早い。ただし、専門技術の分野で優秀な研員であることと、同僚から信頼されて秘密や悩みをうちあけられる人望の篤い人間であること とは、まったく別だ。けちでいばりくさったボスや細かい点にまでうるさい管理職は専門分野で は有能かもしれないが人望に欠ける点で管理能力に弱点があり、インフォーマル・ネットワーク からは完全にはずされてしまうだろう。組織の「花形」は、コミュニケーション、専門技術、人 望のすべてのネットワークで人々と親密なつながりを持っている場合が多い。 (『SQ 生きかたの知能指数』ダニエル ゴールマン p.249)

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